振り返り
コンペは勝たないと意味がありません。実際の仕事としてよいかどうかはさておき、どうしたらコンペで勝てるか、という視点で振り返ってみます。
今回の反省は、ブリーフ/クライテリアの背後にある、審査員からのメッセージを読み切ることができなかった。これにつきます。
①クライテリア
ヤングカンヌの審査は、減点方式です。勝つためには、要所要所でしっかりとポイントを獲得する必要があります。
PR部門のクライテリアは、昨年まで「戦略」30%、「クリエイティビティ」20%、「戦術」20%、「成果」30%というものでした。他の部門に比べると「戦略」が重視される傾向で、実際過去の受賞作を見ても、課題の絞り込み、各種ファクトの発見感、インサイトの納得感、アプローチ方法など、「戦略」部分がすぐれているものが評価されていました。
しかし、今年提示されたクライテリアは、「クリエイティビティ」40%、「戦略」25%、「戦術」25%、「成果」10%に大きく変更。
「クリエイティビティ」が40%、とかなり重点が置かれている時点で、今回は「戦略」よりも、太くシンプルでオリジナリティのあるアイデアかどうかで評価するよ、というメッセージだったのだと思います。
ぼくたちは、過去の事例研究から「戦略」に固執し、「クリエイティビティ」で得点が稼げませんでした。審査員にフィードバックをもらったところ、「クリエイティビティ」以外の「戦略」「施策」「成果」の点数は良かったとのことでした。
②ゴール設定
ブリーフの“OBJECTIVE(ゴール)”には、「“Silent Emergency”の認知を高めよ」とだけ書いてありましたが、その後に“Lake Chad Crisis”について、これまでの経過や具体的な数字も含め詳細に紹介されていました。
ぼくたちは、あくまで“Silent Emergency”が主題であると思い込みましたが、(“Silent Emergency”でもいいけど)“Lake Chad Crisis”で考えたほうがいいよ、というメッセージだったのだと思います。
③補足説明
ブリーフにはいくつか細かな補足説明が書いてありました。その中には、唐突に“new technologies”や“innovative new communications”という言葉も。
ぼくたちは、戦術のひとつに加えるぐらいで、あまり気にしていませんでしたが、これは新しいテクノロジー(VRなど)を使ったアイデアを考えると評価するよ、というメッセージだったのだと思います。
優勝したハンガリー代表チームの企画は、(ざっくり言うと)ハンガリーにある湖の双眼鏡を覗くと、VRでチャド湖の悲惨な現状が見える、というものです。(たまたまか、狙ってか)上記の内容をしっかりと押さえた企画です。
もっとブリーフ/クライテリアを汲みとれていれば勝てていたかも、と思うと、未だに悔しくてなりません。
まだまだ書ききれていないこともたくさんありますが、「②PR部門本戦篇」は以上となります。もし、より詳しく知りたい方がいらっしゃいましたら、お気軽にお声がけくださいませ。
では、次回は、PR部門以外のヤングカンヌについて、各代表のみんなに協力してもらい、ご紹介できればと思います。
<次回>ヤングカンヌ2017:③全部門総集篇 — カンヌライオンズ2017レポート
中川諒
1988年生まれ。幼少をエジプトとドイツで過ごす。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、Udaan School of Photography Mumbaiにてフォトジャーナリズムを勉強。Wieden+ Kennedy TOKYO(アルバイト)を経て、電通に入社。横浜市立大学医学部共同研究員。 Young Cannes 2017 PR部門日本代表。ADFEST、Spikes Asia、広告電通賞など。
山脇卓朗
1988年生まれ。幼少を兵庫県加古川市で過ごす。東京外国語大学、WEB系とファミレス系とガテン系のフリーランスアルバイターを経て、電通に入社。入社以来ストラテジーを起点としたプランニングに従事。PRアワードグランプリ:ゴールド、広告電通賞:電通賞、ADFEST:ゴールドなど受賞。
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