ファンがやりたいことは2つある
大洞:企画時にいろいろ調べた際、ファンが最も取り組みたいことは2つだと気がつきました。一つ目は、自分たちが考えた商品が販売できること。つまり新商品開発ですね。
藤崎:なるほど。やはり商品開発に関わりたいのですね。
大洞:はい。私たちも将来的にはファンと一緒に商品開発を行いたいのですが、いきなりそこから始めることはできません。そこで2つ目にやりたいことなんですが、これは新商品を「みんなより先に食べたい」ということです。今回は、こちらから始めることにしました。
藤崎:「試食部」を始めるにあたり、参考やヒントにしたものはありますか。
大洞:やはりスターバックスさんのような、ソーシャルマーケティングに憧れていますね。
確か新製品発売の2週間ほど前にリリースを出されていて、情報としては誰でも知ることが可能です。そして、ファンは発売日を心待ちに過ごして、いよいよ初日に「食べました!」と、Instagramやブログにアップしています。
発売初日からソーシャルメディアに情報が上がってくる、そういう自然な流れが生まれることは本当にステキだと思っていました。丸亀製麺でもできないかしら、というのが目標です。
藤崎:スターバックスさんはメール会員に新製品のお知らせを送っていますよね。
大洞:そうです。リリースもファッションサイトで採り上げられたりするのが、またうらやましいのです(笑)。
当社でも、一部のファンは新商品へ期待してくださっていることは分かっていました。ただ、そういう熱心なファンに、こちらからきちんとお知らせする手段がなかったんです。
藤崎:ファンには新商品を応援したいポテンシャルがあり、その活躍の場所として試食部を受け皿にしようというお話ですね。
大洞:そうなんです。
藤崎:私は広告会社時代にゲーム会社の広告に携わっていた時期がありますが、ゲームは発売日にファンが行列をつくってくれました。ただ、そのようにファンがリリースを待っている業界は案外少ないと思います。
大洞:今でこそ、例えばマクドナルドさんなどの大手チェーン店では、新発売の日をマス広告で告知しますが、例えば町の食堂などでは、「冷中華あり〼」と張り紙をするだけです。小さな普通のお店だったら、提供が数日ずれることだって珍しくありません。
毎日営業しているお店としては、きちんとしていればお客さまは来るし、新商品も次第に売れていくという自信も経験上あるため、昔は今ほど初動を動かすということを考えていなかったと思うのです。
藤崎:お店がしっかりしていれば、いつかは自然にというのはもっともですね。
大洞:マーケティングの担当者としては、アーンドメディア自体、反応が取りにくい場ということもあり、もうちょっと率先してファンとのコミュニケーションや、発信してもらうタイミングやハッシュタグなどをコントロールできたらいいのに、と以前から思っていました。
藤崎:確かに昔の飲食業界では、新発売の日が今ほどクローズアップされていなかった気がします。ということは新発売の日がマーケティングのチャンス、きっかけづくりのひとつになってきたということでしょうね。
「アンバサダー視点のススメ」バックナンバー
- ファンのモチベーションは企業や周りの人に読まれている意識(ディーライフ)(2018/8/17)
- 視聴者を横串でつなぐマーケティング手段としてのファン施策(ディーライフ)(2018/8/10)
- ユーザーに委ねることで生まれた、多様なクチコミと説得力がカシオ「PRO TREK Smart」成功の秘訣(2018/5/29)
- カシオ「PRO TREK Smart」が取り組む、ファンやユーザーの信頼で紡ぐブランディング(2018/5/22)
- デルが記事広告の出稿をやめた背景、ファンが執筆する記事は「目線」が違う(2017/12/14)
- デルがファンとの交流プログラムで感じた、マスマーケティングとの違い(2017/12/06)
- ファンの声を直接聞くために社長が全国行脚、ケンタッキーフライドチキンの顧客戦略(2017/11/14)
- ケンタッキー「カーネルクラブコミュニティ」、購買データを使ったマーケティングの限界感から開設(2017/10/31)
新着CM
-
クリエイティブ
品が良すぎる漫才(有元沙矢香)コピー年鑑2023より
-
広報
SNSの声を広報としての判断軸に活かす(広報担当者の情報インプット術/ヘラルボニ...
-
AD
宣伝会議
【広報部対象】旭化成のグローバル社内イベント成功事例を紹介
-
広報
モビリティサービス協会設立、業界の垣根を越えルール作りや提言
-
販売促進
「脳トレ」でドライバーの健康増進、損害保険ジャパン 「運転脳トレ」のNeUと提携
-
AD
マーケティング
ブランドスローガンやコンテンツの価値を、広くユーザーに届けるには
-
クリエイティブ
デコンストラクションで浮かびあがった9つの視点(木村健太郎)~『世界を変えたクリ...
-
広報
社員との日常的な対話からアイデアを獲得(広報担当者の情報インプット術/グリーンモ...
-
AD
特集
【Ayudante主催】デジタル時代のマーケティング活用セミナー