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コラム

クリエイティブシティ アムステルダムから送る「越境のススメ」 

アムステルダムの中心にある「ファブラボ」で起きていること

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クリエイターならではの着眼がビッグビジネスへ

「FAIR PHONE」というブランドをご存知でしょうか?これはスマホの中に使われている鉱物が、どこから来ているのか?何を使っているのか?ということを徹底的に調べた結果、生まれたブランドです。紛争地域や環境破壊が進行するエリア、労働基準法などが全く存在しなく、人権侵害、搾取といった劣悪な労働環境において、発掘された鉱物が使用されているという、スマホ製造メーカーでさえ知らない事実に、衝撃を受けたことからこのプロジェクトは始まりました。スマホには、実はスズや、金など、およそ40種類の鉱物が使われているのです。

FAIR PHONEは、適正な労働環境で、正当な労働賃金が支払われているところの鉱物のみを使うことによって、持続性のある社会、環境を取り戻し、労働者や労働環境の改善に寄与することを目的としたスマホのブランドで、現在はヨーロッパのみで発売されています。

で、このFAIR PHONEが、なんとワーグソサエティ発のブランドなのです。2010年に発売開始されてから、すでに10万台以上が売れているのです。スマホの製造メーカーでは、なかなかこうしたアイデアは生まれないかもしれませんね。

私自身も、今年6月末に参加したワーグソサエティのワークショップで、「魚の三枚おろし」を習得できました。近年の海洋環境がもたらす生態系破壊や、寄生虫から遺伝子解析といった幅広いテーマを扱ったワークショップでしたが、新たな視点(と包丁さばき)が身についたのを覚えています。

日本のクリエイターの皆さん、いや、クライアントの皆さんも含めて、こんな幅と懐の広いワーグソサエティと一緒にやりたいプロジェクトはないでしょうか?日本の皆さんとのコラボは、必ずうまくいくと思います。なんと言っても、日本とのコラボの歴史は、蘭学以来ですからね。

実は自分自身、ワーグソサエティの大ファンでもあるので、日本企業とのコラボもいつか実現したいと思っております。全く許可を取ったわけではありませんが…。

ということで、アムステルダムの中心にあるワーグソサエティのご紹介でした。アムステルダムがクリエイティブシティである、ということが少しでもお伝えできればうれしいです。決してマリファナと飾り窓だけではないんですよ。

<著者プロフィール>

吉田和充(Creative Business Development/Branding Designer/Creative Director/保育士)

1972年東京生まれ。1997年慶應義塾大学卒業後、博報堂入社。CMプランナー/ディレクターとして、40社、400本以上のCM制作を担当。ACCグランプリ、コピー賞などを獲得。
在職中に1年間の育児休暇を取得し、家族でアジア放浪へ。2016年、子どものクリエイティブな教育環境を重視してオランダへ移住。2017年現在、Neuromagic Amsterdam BV CEO、個人事務所SODACHI CEO、STYLA TOKYO クリエイティブディレクター。広報広告全般からマーケティング、企業の成長戦略策定、ブランディング、新規事業立ち上げ、新商品開発、Web制作、サービスデザイン、海外進出などクリエイティブ業務全般を担当。
アムステルダム市との協働プロジェクトとして、アムステルダム市の「粗大ゴミの処理問題」にも取り組む。
元サラリーマンクリエイターの海外子育てブログ『おとなになったらよんでほしい|おとよん』連載中。