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コラム

関西で戦う。クリエイターの流儀

京都をリサーチ&プランニングするということ

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関係性づくりと、勘違いしないという気持ち

通常、クリエイティブの領域で仕事をする、特にプランニングなどの仕事をしていると、担当者と企画書の中で世界が完結してしまいがちです。しかし、松倉さんに関して主役はまちや当事者、クリエイティブはあくまで脇役とうまくバランスを取っています。

地方で仕事をしていると、担当者が良いか悪いか全てを任せてもらうことも少なくありません。考えたことや制作したものを全て受け入れてくれるのはありがたいのですが、その企画や制作物の目的や狙いを担当者のみしか共有しておらず、現場にいる当事者たちとうまく連携できないということも、ままあります。

そこで、松倉さんにプランニングや、現場や当事者たちとの関係性づくりに至るまでに心がけていることをお聞きしました。

—当事者たちとの関係性づくりのコツってあります?

松倉:年々、京都や地方で大きな仕事に関わる機会が増えて、そうすると、当然ですが上流での仕事が増えるということなんです。ふと、あ、これは危ないぞと気づきまして。自分が空想で組み立てて、あとはよろしくという流れになって現場にいる人やまちの当事者たちを置いてっちゃうなと思いました。

だからこそ、意識してできるだけ現場の作業も関わるようにしています。この前は、大量の機材を自分1人で運びました。現場のことを忘れてしまうと、いつかは横暴になってしまうなと思って。いるじゃないですか、横暴な人って。あぁはなりたくない。一緒に作ってくれる人たちのこともちゃんと考える。僕の仕事の1つは、関わる人たちを守ることだと思うから。

—でも仕事が評価されると、勘違いしません?自分ってすごいぞって。

松倉:心がけているというか、ある体験のおかげですかね。それは、まだ僕が「ovape inc」で働いていたとき、瀬戸内国際芸術祭に呼ばれて小豆島で滞在しました。そこに地元のおばあちゃんがやって来て、「あんた何者?オバケって何や?」と言われて、ハッとなった。そりゃそうだよなって。チヤホヤされる機会も多いけど、おかげで勘違いしないで済みました。地元のおばあちゃんには全然理解されていないぞって。

次ページ 「見えなかった未来と、人間らしさのある生活」へ続く