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コラム

マーケティングを“別名保存”する

P&Gのマネはできない。巨大広告主でなくても実践できるブランドセーフティ

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【前回】「“何でも屋”にならないために、デジタルマーケティングのSOWを決めよう」はこちら

メディアを動かせるのは、バイイングパワーを持った巨大広告主だけ

123RF

ネット広告の世界で、「ブランドセーフティ」の重要性が叫ばれて久しいです。もはやその背景をここで説明するには及ばないでしょう。では、どうしたら「ブランドセーフティ」を実現できるのでしょうか。その方法は?公序良俗に反するコンテンツを配信しているメディアには広告を出さない、という巨大なグローバル広告主の声は聞こえてきますが、そんなことが出来るのは一部のプレイヤーだけではないでしょうか。

ひとつには、バイイングパワーの問題があります。「わ、わかりました、それでは何とかします!」ということでメディア側が、対策を講じてくれることを期待できるのは巨大広告主のアドバンテージです。だからこそ、の立派なリーダーシップとも言えるのですが、その恩恵はその他の広告主に広く遍く行き渡るとは限りません。

アドベリフィケーション推進協議会が今年1月に発表した「2017年度日本のアドベリフィケーション調査レポート」から、日本市場におけるブランド毀損リスクの割合を示した図。アドベリフィケーションツールを提供する2社(グローバルでサービスを提供するIAS社と、日本国内で提供するMomentum社)の共同調査の結果をまとめたもの。

巨大広告主だからこそできることの一例を挙げると、PMP(プライベート・マーケット・プレイス)という仕組みがあります。アドネットワークの中にあるプライベートなアドネットワーク、というイメージで、そこにはブランドセーフかつ視認性も担保された優良な枠のみが集められています。このPMPは招待制であることが多く(プライベートと言われる所以)、限られた広告主しか参加できません。また、これはプログラマティックを使わず、全て予約型の掲載面が保証されたメニューだけを利用する場合も同様ですが、単価が高くなったり、単価は安くなっても最低出稿価格が高くなるため、広告費が潤沢にある広告主以外には採用しづらいオプションです。

フリークエンシー管理ができないと、広告はスパム化する

ここまでは広告が配信されるメディア、面のブランド毀損回避について説明してきました。もうひとつブランドセーフティの視点として欠かせないのが、フリークエンシーの管理です。ここはブランドセーフティの議論でもっとも見落とされていると筆者が考えるところなのですが、同じブランドの広告が毎日のように表示されるとほぼスパム化してしまう、というリスクがあります。同じ掲載面に全く同じバナーが複数掲載されるということもプログラマティックでは珍しくありませんが、これもある種のスパム状態といえるでしょう。巨大な広告主はマスマーケットを対象としているところが多く、その場合到達するべくオーディエンスの数が多いため、またマスメディアとデジタルメディアを横断したポートフォリオが広範に及ぶので、特定ユーザーへの特定媒体におけるフリークエンシーが問題になることはあまりありません。

しかし、ターゲットが限られた商品を扱う広告主が、効率性を重視しさらにリマーケティングなどでオーディエンスを特定している場合、上記のようなフリークエンシー過多によるスパム化が起こりやすく、何も気にしていないと平気で「月30回」などというフリークエンシーに到達してしまいます。毎日同じブランドの広告が、同じターゲットに繰り返し表示される、ということです。このことによるブランドイメージの悪化は、場合によっては掲載面の問題より深刻です。
効率化を図るべくターゲットを絞っている分、そもそも自社がオーディエンスにとって興味がある可能性が高いブランドである以上、広告にアテンションが行きやすい。その分「繰り返し出てきてウザい」という悪感情が煽られてしまうのです。

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