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今回のゲスト
カシオ計算機
戦略統轄部 時計戦略部
堀清司(ほりきよし)
1993年、カシオ計算機入社。学校教育用電卓の営業担当として、6年間従事したのち、1999年より電卓・電子辞書等の営業企画・マーケティングを担当。2007年よりグループ会社の携帯電話メーカーに異動し、国内向け携帯電話・スマートフォンのプロモーション・マーケティングを担当。IT/通信業界での経験を経て、2016年のカシオのスマートウォッチ1号機よりマーケティング専任者として従事。現在に至る。
※本記事は、企業向けにアンバサダープログラムを手掛けているアジャイルメディア・ネットワーク(AMN)のエバンジェリスト藤崎実氏が執筆したものです。
今までにない製品には、評判さえ存在しない
藤崎:最初に「PRO TREK Smart」の概要をお伺いできますか?
堀:当社は2016年3月、Googleのウェアラブル向けOSを搭載した、スマートウォッチの第1号機「Smart Outdoor WatchWSD-F10」を世に出しました。この時はまだ、プロダクトブランド名がなかったのですが、2017年の第2号機「WSD-F20」の発売時に、カシオのアウトドアウォッチブランド「PRO TREK(プロトレック)」から冠を取り、スマートウォッチという属性を加え「PRO TREK Smart」というプロダクトブランド名が生まれました。そして「PRO TREK Smart」のマーケティング推進が私の担当となり、現在に至ります。
藤崎:「PRO TREK Smart」は新しいジャンルの製品ですよね。「今までにない魅力をどうやって伝えるか」は大きな課題だったのでは。
堀:その通りです。私が当時痛感したのは、製品について誰も知らないということです。イベントや製品機能を紹介する機会があると「今まで見たことない製品」「ところでスマートウォッチって、何?」といった反応を受けます。続けて、「何に使えるのか、わからない」とひと言。
「今まで使ったことがないから、わからない」というのは、当たり前といえば当たり前です。ただ大問題だったのは「知らないから、それが良いものかわからない」だけでなく、「わからないから、自分には関係がない」と、捉えられてしまうことでした。
藤崎:今までにないものには、そもそも評判が存在せず、手がかりがないので、自分にとって使いこなせるかわからない。わからないから買えない。というジレンマですね。
堀:まさにそれを打破していくのが、マーケティング上の課題でした。
一般的に新製品を知ってもらう時は、実際に記者やライターに使ってもらい、レビューしてもらう方法が効果的です。しかし進める上で留意したのは、一般的にIT系の新製品はいわゆる「ガジェット系」にカテゴライズされると、アーリーアダプターと呼ばれる非常に積極的な層には支持されるものの、その先のフォロワーが続かずに終わってしまうことが多い点です。そうならないためには何をすべきかを考えていました。
藤崎:一部の人たちに向けたニッチ製品で終わらせるのではなく、もっと広がりを持たせたいと考えたわけですね。
堀:もちろんスマートウォッチ自体が新しいカテゴリーなので、そういった傾向は生みやすい面はあります。ただ、スマートウォッチには大きな可能性を感じましたので、できるだけ多くの人に使っていただきたいと考えたのです。
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