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コラム

「広告」から「クリエイティビティ」へ【ACCプレミアムトーク】

【座談会】“素直な”イノベーションが未来をつくる! 暦本純一氏×鈴木堅之氏×近山知史氏

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受賞で激変! ベンチャーの自信と信頼度

暦本:初年度から予想以上に応募数が多かったのは嬉しい悲鳴でした。しかもクオリティが非常に高かった。でも逆に、どれをグランプリにするかというところでは非常につらいものがありました。それぞれかなり違うジャンルから出てきているので、違うスポーツの1位2位を争っているようなところもあるんです。それを簡単に序列化してもいいのかなと。

近山:審査基準に「どれだけ成果を出しているかより、将来性を重視」とありました。議論をする中で、審査にブレが出ることはありましたか?

暦本:あることはありますよね。ただ、すでに世の中に出ているものはここで改めて賞を与えなくてもよいのかなと。そういう意味では、プロトタイピングから市場に出ようとしている、というくらいのものがホットな感じがする。とはいえ、大企業の方もいるし、広告の方もいるし、スタートアップ企業の方もいるし、それぞれの立ち位置や意見を交えながら審査しました。審査委員の応援演説で順位が変わったものもありましたね。

近山:実際にプレゼンを聞いてから、印象が変わったという作品もありましたか?

暦本:ありました。プレゼンの前は資料を見て議論するので、読み落としていたところがあったり。

鈴木:ベンチャー企業は信用・信頼で言うと大きい企業より薄い。けれどこの賞をいただいたことで、一気に世界が変わってきたという感じがあります。大学ベンチャーの賞とは全然違う分野で、広く世間に認められる賞をいただけるというのは、一般の人から見た私たちや製品そのものの信頼度が変わってくる。大学の中だけだと、ほかの車いすやリハビリ機器と比べて、狭い範囲の中で「あれよりここが優れている」という話になっていくんです。でも近山さんたちが、そういうことではなく、これは今までの車いすにはないものなんだということに気づかせてくれたんですね。車いすには2600年の歴史があるのですが、“足を使わない”のが常識だった。そこを覆している時点でほかと比較するものではないと、気づかせてくれた。この製品は社会をぐるっと変えていくような、まさにイノベーティブなものなんだと自信を持たせてくれたんです。そこに、賞をいただけてさらに自信を持つことができた。

実際にこの賞の後、足漕ぎブームがひそかに起こっていまして。いろんなところで足で漕ぐ製品が出始めているんですよ。

一同:

近山:すごい! いいですね。

鈴木:それはさっきお二人がおっしゃったように、社会を変えましたよね。足を動かさず電動で進む車いすの時代に、足で漕いでもいいじゃないかと。この賞をきっかけにあちらこちらで火が付き始めているのを感じます。会社としてはちょっと危機感もありますけど(笑)。でも、受賞で認められたことにより、私たちが本流だ、ずっと本物をつくり続けていこうと気持ちを新たにできた場でもありました。

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