羽生選手のプレゼンが、人を動かす理由 — 何を語るかを周到に準備せよ

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バリュープロポジションを考え抜け

あなたも、自分の経験を物語にしてプレゼンで話しましょう。あなたの体験は、あなた自身は当たり前と思っていても、地球上であなた一人しか持っていません。皆が興味を持つのは、あなたの体験の物語です。

ここで大切なのが、「バリュープロポジション」という考え方です。バリュープロポジションとは「お客様が求めていて、自分だけが提供できる価値」のこと。マーケティング戦略ではこのバリュープロポジションが、あらゆるマーケティング施策の出発点になるのです。

プレゼンもまったく同じです。

自分が話したいことだけをいくら上手に話しても、聴き手が知りたいことでなければ、相手には届きません。さらに相手が聞きたいことでも、他の人でも語れる内容だったら、相手は聞き流します。聴き手が求めていて、自分しか語れないメッセージを話すことで、相手はあなたのプレゼンを聞いてくれるようになります。だからこそ、自分しか語れないバリュープロポジションを見極め、バリュープロポジションを語ることが必要なのです。

バリュープロポジションは、次の3点セットで考えます。

〔三つの質問〕
1.聴き手が知りたいことは何か?
2.ライバルが語れることは何か?
3.自分しか語れないことは何か?

羽生選手は、このバリュープロポジションが明確なのです。

〔羽生選手のバリュープロポジション〕
1.聴き手が知りたいこと:羽生選手しかできないチャンピオンの演技。
2.ライバルが語れること:頑張ります。金メダルとります。
3.羽生選手ができること:羽生語で自分語り。
バリュープロポジション→羽生語で、記録と記憶に残る人になる。

バリュープロポジションを考え抜いたメッセージを聴き手に伝えることで、聴き手は感動し、心が動くのです。

永井 千佳(ながい ちか)
トップ・プレゼン・コンサルタント、ウォンツアンドバリュー株式会社 取締役

桐朋学園大学音楽学部演奏学科卒業。極度のあがり症にもかかわらず、演奏家として舞台に立ち続けて苦しむ。演奏会で小学生に「先生、手が震えてたネ」と言われショックを受ける。あるとき緊張を活かし感動を伝えるには「コツ」があることを発見し、人生が好転し始める。その体験から得た学びと技術を、著書『緊張して話せるのは才能である』(宣伝会議)で執筆。
経営者の個性や才能を引き出す「トップ・プレゼン・コンサルティング」を開発。経営者やマネージャーを中心に600人以上のプレゼン指導を行っている。
また月刊『広報会議』では、2014年から経営者の「プレゼン力診断」を毎号連載中。50社を超える企業トップのプレゼンを辛口診断し続けている。NHK、雑誌「AERA」、「プレジデント」、「プレシャス」、各種ラジオ番組などのメディアでも活動が取り上げられている。
その他の著書に『DVD付 リーダーは低い声で話せ』(KADOKAWA /中経出版)。
永井千佳オフィシャルサイト
Twitter:@nagaichika

 

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