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コラム

NYから解説!日本企業のグローバルブランディング

オバマ前米大統領のスピーチに学ぶ リモート時代のトップメッセージ

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温かで親しみを感じるプレゼンスとアピアランス

アピアランス(外見)は上質なスマートカジュアル。ダークネイビーの上着、ブルーのシャツ(ボタンダウンじゃない)、ネクタイはなし。オンラインでのバーチャル卒業式という従来なかった新しい状況設定、そして新しい時代をつくる高校卒業生との共通非言語に、白シャツやネクタイという硬さは選択肢にない。青系の伝える誠実さに、白い歯とドレスシャツのボタンの白が清潔感と清々しさとして効いている。

また、本人のバックにある背景と、メッセージとの相関性も良い。白い本棚のような壁に本やフォトフレーム、花などが置かれていて、それらがいい具合にボケており、ご本人の存在感を際立たせている。メッセージ内容としっかりリンクしており、気取りがなく、明るく暖かい。

映像に映るフレーミングも良し。きちんと画面中央に位置し、賑やかになりすぎない程度に、かつ高校生に親しみを感じさせる、カジュアルで自然な動きや豊かな顔の表情がつけられている。

新しい時代を生きるための3つのアドバイス

実は、このスピーチが配信された後、米現政権を非難しているとも言われていた。筆者は政治的メッセージに関しては言及しない。ただ、このパンデミックの最中に卒業を迎え、従来の卒業生よりも急いで大人にならざるを得ない部分をもち、大人でさえ分からない未知の社会への一歩を踏み出す彼らの背中を押すメッセージは、そのような懸念よりも大きなパワーと価値のあるものだと考える。

スピーチ内容は、ぜひとも映像と文末の日本語訳を照らし合わせながら、全編ご覧になっていただきたい。これから大人への一歩を踏み出す2020年の高校卒業生に、現実を伝えながらも勇気と希望を与え、称えている。中でも、高校生を1人の大人として扱い、「あなたたちは新しい時代を築けばいい」と語るそのメッセージに勇気づけられた人々は多いだろう。

このスピーチは全米の高校卒業生へ向けられたものとして公開されたが、筆者はもっと大きなものに思えてならない。中でも、彼が伝えた「3つの簡単なアドバイス」は、大人であればあるほど、実は行うことが簡単ではなくなっていて、目を覚まさせられたのではないだろうか。

それは、➀恐れないこと ②自分が正しいと思うことをすること ③コミュニティを構築すること。これら3つ、大人の年齢になった我々はできているのか?社会の中でリーダーと言われている人々や社会に影響力のある企業はそれに気づいているのだろうか?残念だが高校生以上にできていないのではないかと思う。

だからこそ、世界中が強制的に立ち止まざるをえなくなった今、大人たちが忙しい毎日の中でおざなりにして、当たり前なはずなのにできていない、どこかに置き忘れてしまったことを気づき、取り戻し、自らを、そしてコミュニティや企業、さらには社会を、意思あるリブランディングするためのリベンジの機会を与えられているのだろう。もう元には戻らない従来の社会から、ニューノーマル、ニューノームの新しい時代へとシフトチェンジする激動の変化の中にいる、世界中のあらゆる年齢の人々、企業にとって、もう戻ることのない「今までの当たり前」からの卒業なのだ。

だから、皆さん、今までの社会からの卒業、おめでとうございます。それぞれにとって不可欠なものを思い出し、取り戻したら、新しい時代に向けて誇りを持って前進しようではないか。オバマ氏もKeep making us proud.と締めくくっている。

次ページ「■5月16日に行われたGraduate Together 2020でのオバマ前大統領のスピーチ全文」へ続く