コラム

48歳のピボット・ターン 〜広告会社のCDが、テックベンチャーに入ったら〜

半分素人、半分玄人のススメ。

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半分素人、半分玄人、がエキサイティング

今の仕事にちょっと飽きてきたり、その先行きに不安を感じたりした時。もしその次に、自分にとってあまりにも新しい世界に入りすぎたら、なかなか役に立てず、無力感を覚えるかもしれない。だから、今まで自分が培ってきた技術や経験を活かせて、それでいて、自らの頭脳と感覚をフル回転させなければ解が出てこない未知の場所が、キャリアのピボット先としてはオススメできる。半分素人、半分玄人くらいが、いちばんワクワクするし、自分が成長する感覚がある。

2013年にアドタイでコラムを連載させてもらった、ロサンゼルスのクリエイティブエージェンシーTBWA\CHIAT\DAYでの日々もそうだった。日本での広告づくりの経験があったからこそ、アメリカでの広告づくりができた。だけど、日本でやってきたことを英訳すればいいというような簡単な話ではなかった。むしろ、日本での広告づくりと比べて、何が違うのか?を考えることに前半は時間を割いていたと思う。

それまで日本での仕事は主人公のちょっとした一言のセリフや、CMのワンカットというディテールから、考えだすことも多かった。小さなものから、上位概念を抽出して、大きくしていく感じ。アメリカではまったく逆だった。テレビCMのコンテを考えるのなんて後の後。大きなブランドアイデア(ビッグアイデア)があり、それをテレビCM、グラフィック、デジタル、プロモーション……という実施案に具体化していく感じだった。日本とアメリカの違いがハッキリわかると、より意識的に仕事に取り組めた。さらに、違う部分の力をのばしていくこと、結果がだせることに面白さも感じるようになる。

ちなみに同じ部分もたくさんあって、僕が最初に採用されたコピーは、英語のダジャレだった。日産USAの仕事で、ハロウィンの季節にトレーラー(牽引車)つきのSUVを売る、というお題だったのだが、“TRICK OR TREAT”(お菓子をくれなきゃ、いたずらしちゃうぞ)をもじって“TRICK OR TRAILER”(トレーラーでどっか連れてってくれなきゃ、いたずらしちゃうぞ)と書いたら、“Good job!”とCDに言われてFacebookのブランドページのトップ画像になった。うれしかったなあ。英語でもダジャレはあるんです。

話を現在にもどすと、コピーライティングと企業広報は、ストーリーテリングという橋でつながっているように見えた。それが今の僕の「半分素人、半分玄人」なのである。

次ページ 「自分のスキルを押し通すのではなく、違いを見つめる」へ続く

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