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デザインの背後にある、コンセプトが鍵 創業100年の老舗米菓店がリブランディング

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100周年を目前にリブランディングを実施した老舗の米菓メーカー「中央軒煎餅」が、6月に「渋谷 東急フードショー」へ新規出店し、話題になっている。同社代表取締役社長の山田宗氏に、リブランディングの背景やリブランディング成功のためのパートナー選びについて聞いた。

言語化されたコンセプトをもとに日本画家とのコラボパッケージも

1923年に創業し、2023年に100周年を迎える中央軒煎餅。2018年には国産玄米100%のおかきブランド「きりのさか」で30~40代の女性向けにリブランディングを、続いて同社の中心ブランドである「中央軒煎餅」でもリブランディングを実施。そして6月1日には“これからの中央軒煎餅”を象徴する店舗として、東京・渋谷にある「渋谷 東急フードショー」にて新店舗をオープンした。

「リブランディングを考えるようになったきっかけは、パッケージデザインや店舗デザインなど、目に見えるところに課題感があったこと」と代表取締役社長の山田宗氏は話す。

商品の味・品質には絶対の自信をもっていたものの、デザインの工夫により、さらに多くの人に魅力を伝えられるのではないかと思索。また、百貨店やショッピングセンターへの出店が続く中で、若年層へのアプローチの必要性も感じていたという。このような背景から、パートナー企業と共同でコンセプトから見直し、デザインをリニューアルするリブランディングの実施に至った。

「『桐乃坂中央軒』として、もともと、無添加の上質なおかきを開発し『中央軒煎餅』よりもグレードの高い商品として売り出していました。当時のブランドイメージは“シンプルで、和モダン”。リブランディングの際には、ターゲットを30~40代の大人女性と明確化し、ブランドのコンセプトを『オトナ女子のための新・おかきの時間』と設定しました」と山田氏。

名称も『きりのさか』に改名。デザインにおけるコンセプトはターゲットである“大人女性”に“米菓でときめきをつくりたい”との思いを言語化し「ときめきジェネレーター」とした。

一方、「中央軒煎餅」のブランドコンセプトは「人の温もりを感じる結びつきをつくる」とし、贈答がメインの商品だからこそ、人の温もりを通じて心理的な距離を縮めてほしいという思いを込めたという。さらに、日本画家の栗原由子氏の手描きイラストを包装紙などのパッケージに採用。ブランドの持つ温もりを表した。

日本画家、栗原由子氏による手描きイラストを採用したパッケージ。

パートナーを選ぶ際に同社が重視したのは「ブランドが大切にしてきたものを尊重しつつ、それを磨き直し、伝え方の工夫により、お客さまに届けるサポートをしてくれること」と山田氏。また、いきなりデザインを考え始めるのではなく、本質的なブランド価値を言語化することの重要さもパートナーとの共創を通して実感したことだという。それにより「言語化したブランド価値」と「顧客が求めるもの」の2軸が交わるデザインコンセプトが生まれた。

100周年に向け同社は、「笑顔をつくる」という行動方針のもと、“体験”までを提供できるよう、チャレンジを行っていくと話した。

中央軒煎餅
代表取締役社長
山田 宗氏