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ブランドのアイデンティティを明確にする 顧客起点のエコシステムを構築する

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日本企業のDX課題とその課題解決に際して、マーケティング部門ができることは何か。国内で多くの企業のDXプロジェクトをリードしてきたイグニション・ポイント 戦略コンサルタントマネージャーの武田啓和氏に話を聞いた。

企業活動を総合的に変革しひとつの“生命体”として組みかえる

先行きが不透明で、将来の予測が困難になっている現代。そうした環境だからこそ、DXを通じて顧客との関係性を維持、さらに向上し続けるための、コーポレートトランスフォーメーション(CX)が必要であると考えています。顧客接点の最前線を担うのがマーケティングですが、ここにおけるDXとは単にマーケティングオートメーションを導入して完了するような話ではありません。コミュニケーションだけでなく、プロダクトや販売チャネル戦略など、マーケティング活動のすべてにおいて、変革を起こし、それらをつなげて、ひとつの“生命体”として組みかえることが重要です。

そこにおいて求められるのは、企業の存在価値・パーパスを踏まえて、柔軟な発想で戦略を転換し、顧客のライフタイムバリューを高めていくこと。そして転換した戦略に対応できる業務プロセスやシステムをつくりあげ、最終的に人材スキルの構築やマインドチェンジを促していく。

そうした活動そのものが、DXの本質でありCXそのものだと考えます。

また、そうした変革は、ひとつの会社のなかで完結するものではありません。複数の企業で連携したエコシステムを構築しながら、お客さまに対して価値を提供していく。その一例として、地域の地場産業を担う企業が個々にプロモーションするのではなく、ひとつの共同連合体ブランドをつくり、ブランド訴求する事例があります。販売・データ管理をひとつに統合し、各社はより商品力の強化を図るといったパターン。他の業種でも応用できる手法だと思います。

こうした動きのなかでマーケティング部門が果たすべき役割は、カスタマーエクスペリエンスをマネジメントすることに他なりません。カスタマーエクスペリエンスとは、売るタイミングだけではなく、その前後のアプローチも含まれた概念。当然、事業推進や情報システムといった他部門と連携する必要があります。それらに横串を通し、顧客体験をリードするべき部門なのです。

そのときに重要なのが、その企業やブランドとしての、差別化されたエクスペリエンスアイデンティティをつくり上げること。一連の体験の中で、そのブランド“らしさ”を創っていくこと。それがそのまま価値を生み出し、顧客エンゲージメントが高まり、最終的に事業成果につながると考えます。

もうひとつは、小さな成果を積み上げることです。前述の通り、DXは事業全体を踏まえて進めるべきもの。

しかし、どうしても足が止まるタイミングはある。そのなかで何かひとつでも成功体験を生み出してみると、それがエンジンとなり前に進むきっかけになると考えています。

これから注目すべき領域は、カスタマーエクスペリエンスマネジメントのソリューションです。横串で顧客体験価値を最大化するためのマネジメントツールは、まだ国内では浸透していません。顧客の声を起点とした変革を、属人化せず、システムとして事業の中に組み込んでいく。

データを活用しながらどうマネジメントしていくのかが、今後の課題ではないでしょうか。

イグニション・ポイント
ストラテジーユニット
マネージャー
武田 啓和氏