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家庭向けへの訴求強化 スマート照明「Philips Hue」、RoomClip活用でポジションチェンジ

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SNSを単なる“暇つぶし”ではなく、情報源として能動的に接触する人が増えつつある。インテリアに特化した写真SNS「RoomClip(ルームクリップ)」もその一つだ。短期集中連載の最終回では、スマート家電に先鞭をつけたスマホ連動のLED照明「Philips Hue」が、「RoomClip」を通じて目新しいデジタル機器から、暮らしを豊かにする感度の高いファミリー層向けの製品へとポジションを変えようとしている事例を紹介する。

※本稿は「宣伝会議サミット2021」の講演内容を基に再構成したものです。

(写真左)シグニファイ ジャパン コミュニケーション マネージャー 豊田羽衣子氏、(写真右)ルームクリップ 執行役員 川本太朗氏

スマート照明ブランド「Philips Hue(フィリップス ヒュー。以下Hue。)」が、インテリアに特化した写真SNS「RoomClip(ルームクリップ)」を活用して、感度の高いファミリー層での認知を広げている。「RoomClip」で実施したモニターによる投稿の閲覧回数は100万回を超えるまでに至った。

「Hue」を販売するシグニファイジャパンの豊田羽衣子氏は、「『RoomClip』で『Hue』を活用している方の生活を切り取った投稿を通じ、『Hue』が暮らしになじんでいる様子が自然に伝わってきて、いままでになく魅力的にブランドを描けたのではないか」と手応えを話す。

「Hue」は2013年に日本市場で発売したブランド。インターネットを介してスマートフォンと連動し、ほぼ無限の色調を指先で操作できる特徴を持つ。時間や天候、音楽、GPSによる位置情報と連動して彩りを変えられるというのが売りだ。仕事中は作業に適した明かりに変化させたり、位置情報から自宅の出入りに合わせて明かりをオン・オフしたり。映像や音楽、ゲームと連動させて、自宅でも没入感を高める演出なども可能とする。

シグニファイジャパンは2016年にフィリップスの照明事業部を分社化して設立。19年に現在の社名となった。「Hue」の日本参入時は、現在のように「スマートスピーカー」など、いわゆる「スマート家電」が珍しかったころ。まずモノ、グッズ系に関心のある男性からの視線が集まったが、「Hue」にとってはそれは土壌づくりの第一歩となった。「Hue」を操作するアプリは、誰もが開発に参加できるオープンソースで、アプリの幅が広がれば広がるほど、製品の機能が拡充されていくからだ。

時は下って現在。在宅勤務が浸透し、さらにスマート家電というカテゴリー自体も認知度を高めてくると、いよいよ家庭向けへの導入に本腰を入れることになる。しかし、そこで立ちはだかった課題があった。欧米と日本の住宅文化の違いだ。

「欧米では比較的住まい自体が日本より広く、部屋ごとに照明を変えることが半ば当たり前になっています。一方、日本ではシーリングライトが備え付けられていて、それで隅々まで明るいという状況。明かりについて意識するタイミングが交換のときだけ、というのが多いのです」(豊田氏)

「Hue」の使用イメージに使える素材も欧米の家庭。なかなか日本市場で自分ゴト化させづらいものになっていた。製品ベネフィットをわかりやすく伝える上で、規模のある専門メディアはないか――。そこで白羽の矢が立ったのが、「RoomClip」だった。

「RoomClip」の活用は2020年の春から。同SNS上で「Hue」のモニターを募り、自宅での使用状況を撮影した写真を「RoomClip」に投稿してもらうという企画だ。運営するルームクリップ社の川本太郎・執行役員は、「暮らしをよくしたいという意向がもともと強いユーザーが集まっているのが『RoomClip』の特徴。ただフォロワー数が多い人に発信をお願いするのではなく、『RoomClip』ユーザーに『こんな商品があるので使いませんか』と呼びかけると、多いときには1000人規模で手が挙がります。そこからクライアントに審査いただき、商品が役立つ、活用いただけるといった方にモニターをお願いするというキャンペーンです」と話す。

「Hue」シリーズのさまざまな製品でモニターを実施

「Hue」はモニター企画を6回ほど実施。豊田氏は、「課題であった日本市場に適した訴求ができました」と手応えを語る。

「まさに日本の住宅で、どのように『Hue』が活用できるか、という点をリアルに伝えていただけたと思います。加えて、とてもヒントになったのが、投稿コメント。メーカーはどうしても製品を中心に置き、機能を押し出してしまいがちです。しかしコメントは文字通りのユーザー目線で、これからどんな訴求をすればよいかという点で非常に参考になりました」(豊田氏)

ユーザー投稿から100万PV以上発生

さらに夏には「RoomClip」が実施した「おうち夏祭り」へ協賛。新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、各地で花火大会が中止となる中、ユーザーと一緒になって花火の映像を見ようという企画だった。ここでも「Hue」が登場。音に合わせて照明を変えられる機能や、持ち運べるタイプの機種を紹介し、縁側や庭、ベランダなどで楽しめることもアピールした。

「Hue」が再現できる色数は1600万色以上にも及ぶ。静止画ではそのニュアンスが伝わりづらいが、動画であればよりわかりやすい。ユーザーアンケートで「使うのが難しそう」という声があがっていたことも踏まえ、さらに「RoomClip」ユーザーを起用した動画制作にも乗り出した。朝から夜まで、「Hue」での照明がどのように生活を豊かにするかを、操作もふくめて3分の動画にまとめた。

モニターしたユーザーの中からイメージに合う住まいに訪問取材をして動画を制作

「単に動画を撮影するならハウススタジオなどでもできるのですが、ポイントは実際のお住まいの様子を映し出せることにあると思います。これまでの『Hue』の広告の課題は、くりかえしになりますが、欧米の家庭の宣材写真では、どうしても実感がわきづらいこと。『RoomClip』での施策はオランダ本社でも、優しい雰囲気で日本での生活に『Philips Hue』がなじんでいると高評価でした」(豊田氏)

「家電やインテリアなど、家庭内で使うものは、やはり家庭でどう使われているのか、という姿が、最も魅力的に描けるのではないかと考えています」と話すのは川本氏だ。

「ユーザーの方々も、自分の家庭で愛用するさまが、ブランドにプラスになるということを喜ばれる方が多いのも『RoomClip』の特徴です。実際にどう使うかをユーザーと共に発信するというのは、非常に可能性を感じるコミュニケーションです」(川本氏)

シグニファイジャパンは今後も感度の高いファミリー層への「Hue」の訴求に注力する考え。「RoomClip」も春からの新生活に向け、モニターキャンペーンを強化する。

 



お問い合わせ
ルームクリップ株式会社
RoomClip:https://roomclip.jp/
お問い合わせ:https://corp.roomclip.jp/business/