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移行はした、活用できない――GA4で成果を伸ばすために考えるべきこと

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アクセス解析ツール「Google アナリティクス」での「Google アナリティクス 4(GA4)」への切り替えまで、半年を切った。従来の「ユニバーサルアナリティクス」(UA)からの移行は済ませたが、どのように活用すればよいか、手立てを講じるのはこれから、というケースも少なくないのではないか。

「収益増など実務に役立てていくには、最低限でも数カ月分のデータの蓄積が必要です。何ができるのかを整理し、ロードマップとスケジュール策定を始めることをおすすめします。その上で、ユーザーにアプローチしていくことです」と、アイレップ データデザイングループの川村知生氏は話す。

アイレップ データデザイングループ川村知生氏

 

ユーザー把握力が強化

「GA4」と「UA」の違いは、データの収集方法や活用の仕方が異なる点にある。

「UA」では、個々のセッション(サイト流入から離脱まで)を基にデータが測定される。「GA4」は、主にWebページに埋め込まれたタグによって、ユーザーのイベント(行動)ごとに測定していく。よく知られたページビューもそのひとつだが、ページスクロールや、動画の再生ボタンを押す、といったさまざまな行動を、「イベント」として扱う。

その理由は、UAのように「セッション」をメインに計測していると、ランディングページのように1ページで構成されたWebサイトでは行動が把握しづらいため。これはスマートフォンアプリも同様だ。

「UA」でも「イベント」の測定は可能だったが、「GA4」では、より計測と分析が容易になったといえる。

ポイント:「イベント」=ユーザー行動に基づいて計測し、施策に活かす。

ある「イベント」が、同じユーザーによるものであることは、どのように判定するのか。「GA4」ではユーザーの識別力も向上した。

特に進化したのは、「Google シグナル」との連携と、機械学習による「モデリング」。「Google シグナル」は、「Google アカウント」にログインし、広告のカスタマイズをオンにしているユーザーと関連付けられた、サイトやアプリのセッションデータ。サイト閲覧情報などから、性別や年齢、関心事などがわかる。「GA4」では、「Google シグナル」を有効にすることで、ユーザー数のレポートがより正確になるほか、ユーザーの分類の精度も増す。

そして、「モデリング」。ユーザー側がCookieなどを許可しなかった場合、Cookieを承認しているユーザーデータを使用して、行動をモデル化し、測定できなかった分を補足する。

「イベント」をベースにして施策を組み立てていく以上、ユーザーの同一性を把握したり、どのような嗜好で、どんなデモグラフィック属性を持つのか、といった分析の精度は、施策の成否にも影響を及ぼす。


 

行動ベースで収益に貢献する

「『GA4』は、顧客獲得や育成のために活用するツールです。測定やモニタリングをするだけでなく、具体的な施策に落とし込み、成果を出していく機能が強化されています」と川村氏は話す。同氏が着目するのは、「オーディエンストリガー」と「予測オーディエンス」の2つだ。

「オーディエンストリガー」は、ユーザーの行動に関する複数の条件を組み合わせて、複雑な「イベント」を柔軟に作成できる機能だ。たとえば、「ある期間内に、Webサイト内の複数ページを一定回数以上閲覧した」「検索エンジンからWebサイトを訪問し、商品の詳細ページまで到達した」「過去数カ月間で2回以上、商品を複数個購入した」などだ。「イベント」が単語だとしたら、「オーディエンストリガー」は文章にあたる。

組み合わせたものを、新たな「コンバージョン」として設定することで、そのイベントを生じさせることを目的に、広告配信をすることができる。

「オーディエンストリガーのポイントは、ゴール=目標コンバージョンに至る顧客が、その手前で取っているWebサイトやアプリ内での行動を増やしたり、ヘビーユーザーなど、特定のタイプの顧客を増やす施策を、より容易に、細かくできるようになったことです」(川村氏)

もうひとつの「予測オーディエンス」は、指定した条件の行動を取ることが予測されるユーザーのリストを作成する。例を挙げると、「指定の日数以内に、商品を初めて購入する可能性が高い」「指定の日数以内に、Webサイトやアプリを訪れなくなる可能性が高い」などだ。

ベースは、すでにサイトを訪問している人で、サイトやアプリ内での行動を基に、指定したアクションを今後取りうるユーザーを予測する。初回購入が予測される人に特典などを提示して背中を押したり、離脱しそうな気配のある人に向けて、改めてサービスの価値を訴求することで離反を防いだり、といった活用が想定される。

「一定期間で契約を更新するような商品や、サブスクリプションであれば、継続する可能性のある予測オーディエンスを作成するなど、ライフタイムバリューの高い顧客を獲得、育成していくといった具体的な手立てが考えられます。」(川村氏)

ポイント:重要な行動を指定し、それを増やすために広告などのコミュニケーションを実施する

 

戦略から具体的な施策まで

ユーザー行動=イベントを測定し、それを組み合わせてターゲットとすべきユーザーを割り出したり、目標に資する行動を増やしたりすることができるのが、「GA4」の利点だ。となると重要なのは、まずは何をゴールやKPIとするのかの選定と、目標から逆算したユーザー行動の把握、スケジュールやマイルストーン設計になってくる。

「中期や当期、当四半期といったスパンで設定した目標に対し、マーケティングチームが具体的に貢献するための武器のひとつが『GA4』だと思います。サイトやアプリの訪問者が何人いたか、ということではなく、その中から特に重要なユーザーを見つけ出し、コミュニケーションを図るということです」(川村氏)

では、目標に資するユーザーはどんな行動を取っているのか? どんな行動を増やせばよいか? 具体的なサイト内の実装は……? と、目標から細かく分解し、施策を打っていく計画と実行、検証こそが最も重要なパズルのピース。ツール導入ができる企業は少なくないが、計画や指標の提案をするのは、オンラインマーケティングの事例や知見を持っている必要がある。アイレップがGA4を用いたマーケティングサポートを手がけている理由も、まさにここにある。

「各社のデジタル戦略の状況は、それぞれ異なりますので、判で押したような施策というものは向かないと思います。まずは速度を優先し、現状できることで成果を伸ばす、という場合もありますし、自社の会員基盤と連携させて、サードパーティCookieの忌避問題を回避しつつ、顧客育成につなげたり、コストの配分を最適化したり、というケースもあります。後者は不動産などの例がありますが、問い合わせから成約までを一元管理して、成約可能性の高い顧客がクリックした広告を強化して、といったことなどを行っています」(川村氏)

データはどこに貯まるのか?

「GA4」では、蓄積したユーザーデータは一定期間で消去される(GA4探索レポート内)ため、グーグルのデータ格納サービスの「BigQuery」への保存が推奨されている。しかし、保存できるイベントの数は無償版か有償版かで異なり、無償版の場合は1日につきイベントの測定は100万イベントまで。

「数字としては大きく見えるかもしれませんが、ユーザーの行動を細かく見ていくとなると、実はボリュームとして、不足するケースが多いです。特に季節や突発的な要因などでアクセスが増えた場合、無償版だと100万イベントを超えた分は、単純に測定されないので、顧客の行動を把握できなくなるリスクがあります。測定したいイベントや繁忙期の有無などで、冷静に判断すべきですね」(川村氏)

その他のGA4有償版でできることはこちらで紹介

ただし、迫っているのは「時間」だ。分析の基になるデータは、一定量以上の蓄積が必要となる。少なすぎれば精度が下がってしまうためだ。

「期限が迫っているので、移行はしたものの、具体的な活用に至らず測定だけしている、という場合、今後使えるデータが取れる設定になっているか、という懸念もあります。状況にもよるものの、データの蓄積には1年はほしいところですが、施策によっては数カ月分でも動き出すことができる可能性はあります」(川村氏)

ただ、場当たりで設定していると、時間と労力が無駄になってしまう。着手すべきは、ビジネスゴールに伴うロードマップづくりとスケジューリングで、そこから優先順位の高いものから蓄積していくことが結局は近道です。移行は済んだが、成果に活かせていない、あるいは成果につなげるための設計になっているか、ユーザー行動の割り出しやKPI設定ができていない、ということがあれば、そういった部分からでもぜひご相談いただければと思います」(川村氏)

Google アナリティクス 4 プロパティの概要をまとめた資料はこちらから。
ぜひダウンロードしてご覧ください。



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