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コラム

マーケター、プロジェクトマネジメントの掟

指名されたら動揺する超パワーワード! 「全社横断プロジェクトのリーダー」を任されたらどうする?

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「全社横断プロジェクトのリーダーに指名されたけど、何から手を付ければいいのか分からない…、そもそも何をすればいいんですか…。」

こんな嘆きに似たご相談をお受けすることがあります。「全社横断プロジェクトのリーダー」って、たしかに急に指名されたら動揺するパワーワードですよね。

まず、“全社横断”ってワードから感じる圧…。“リーダー”といわれても、何を、誰を、どのように率いればいいのかよく分からない。

でも何やら大ごとの案件に足を踏み入れてしまったことは本能的に感じている。この全身にみなぎる不安を抱えて、これから自分はどうすればいいのか…。

本コラムでは、プロジェクトをマネージする立場、「プロジェクトマネージャー(PM)」について書かせていただきます。申し遅れました、ゴールドウインの冨田と申します。私はゴールドウインに2019年1月にキャリア入社、直後からOMO強化というまさに全社横断プロジェクトにおけるPMを担当して、2020年7月にOMOに関する一連のサービスや環境をローンチしました。

ゴールドウイン入社以前にはアパレルメーカーや消費財メーカーに在籍、新規事業開発としてサブスクリプションサービスの立ち上げ、OMO戦略の開発、CX向上、EC事業責任者などを担当しました。ありがたいことに(?)全社横断プロジェクトのPMを担当する機会を度々いただき、試行錯誤しながら自分なりにノウハウを築いてきました。今回は私の実体験をベースに、プロジェクトマネジメントについて解説していきます。

コラムを開始するに際して、プロジェクトマネジメントについて個人的に語りたいことが本当にたくさんあるので、何を書こうかあれこれ考えました。結論としては、システムの技術的な話題やアカデミックな概念的なお話はすでに書籍やウェブ上に存在しますので、今回は私がPMの実体験から肌で感じることを具体的にお話ししたいと思います。プロジェクトの進め方や取り組み方に悩んでいる方の参考になれば幸いです。

プロジェクトマネージャー(PM)って何する人?

そもそもPMといっても、具体的にどこからどこまでが守備範囲なのかよく分からないですよね。私の経験則から、PMに求められる領域・能力を少しまとめてみました。(代表的な項目を列挙)。

グラフ その他

この図で提示する領域はウェブ・システム開発寄りの内容ですが、幅広い領域をまとめ上げていくという意味ではどんなプロジェクトでも本質的には同じスタンスが必要となります。

「領域」の黄色は設計系、グレーは開発・構築系、白はその他必要タスク。「能力」の黄色は基本スキルで必要なもの、白は基本スキル以外に必要な非認知能力を示しています。よくPMに最も必要な能力は技術的知見だという意見を耳にしますが、私の感覚では半分正解で、半分違うかなと思います。

もちろん技術的な知見は大切です。幅広い領域の課題を取りまとめていかなければならないので、多分野にわたる知見を幅広く、奥深く保有しているに越したことはありません。しかし、プロジェクトには専門性を持った頼りになるメンバーが社内外から集まるもの。端的に言うと、どんな話題でも自分が理解・会話・説明・資料作成ができればいいので、必ずしもすべての領域における知見を誰よりも有している必要はないのです(理解・会話ができなければ、すぐ勉強して身に付ける)。

それよりも、議論を活発化させて集約する、誰も置き去りにしない全員参加型を目指す、打開策を瞬間的に提示する、追い詰められても焦らない、長稼働が続いてもパフォーマンスを落とさない、メンバーが前向きに仕事をできる環境を整える、そしてプロジェクト全体に推進力を与えて着地させる。これがPMに課せられる最も重い役割なのです。

いよいよプロジェクト開始。まず、最初にやるべきことは?

プロジェクトは、基本的にPMが旗振り役となり多くの課題に対してどんどん自発的に動きます。やるべきことを、一手二手三手先まで想像してテンポよくメンバーと連動することで、プロジェクトが活性化され、案件が前に進みます。が、そもそも何から手を付ければいいのかと悩みますよね…。

おすすめは、まず「プロジェクトの大義を決める」ことです。「プロジェクトでやるべきことを具体的に決める」ということですね。というのも、プロジェクト発足時点では、「〇〇領域をDX化!」「OMOを強化!」「業界初のサブスク立ち上げ!」など、粒度の粗いゴール設定はあるのですが、このプロジェクトは誰のために、何のために行われるのか?ゴール達成にはどういうスコープが必要か?という点が、ふわふわした雲の集合体のような状態であることがあります。そしてプロジェクトメンバーも、内容を把握している人もいれば、ひとまず参加しろといわれたので来ました、という方もいらっしゃいます。

まずはプロジェクトのあるべき姿を具体化して、メンバー全員で同じ方向を向く。これをしないと、なんとなくプロジェクトを進めて失敗する、各メンバーの向かう方向も走る速度も一致せず空中分解する、という悲惨な事態になりかねません。

成功するプロジェクトは、必ず全メンバーの意識が共有化されています(誰に聞いても同じ答えが返ってくる状態)。その足掛かりとして、「プロジェクトのゴール地点を現場目線で具体的に定める」、「メンバーの認識を揃える」という作業をいちばん最初に行います。逆にいうと、ここで認識を整えておけば、デコボコによるイレギュラーは起きにくくなるので、後々の進行が楽になります。

初回は、「プロジェクトで最初にやるべきこと」についてお話ししました。次回は、「大義の決め方」について解説します。

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