プレゼン前から“依頼したい”状態をつくる
━━鈴木さんは書籍発刊後、広告会社を中心にプレゼンについて講演する機会がありますが、ユニオンテックでの研修ではどのような発見がありましたか。
鈴木:オフィスデザインは、コーポレートブランディングに近い領域なのだと感じました。アウトプットの手段が広告コミュニケーションか空間デザインかという違いはありますが、経営課題に立脚し、従業員を含めたステークホルダーの感情や行動をどのように変えたいのかを考えるという構造は非常に似ていますよね。また、「テストフィット」という概念は、広告業界にも応用できると思いました。
赤枝:「テストフィット」とは、移転先候補のビルの間取り図を元に、社員数分の設備を当てはめて、実際に収まるかどうか簡易的なレイアウトを作成することです。クライアントの意思決定をサポートするものなので、信頼関係を築く上でも重要なプロセスです。
特に私たちはプレゼンの手前からコミュニケーションを多く取るようにしていて、「私たちはこう考えているのですが、この方向性で合っていますか?」と可視化しながら進めることを大切にしています。デザイナーは「完成形は最後にサプライズ的に見せたい」と考えがちですが、クライアントの安心感を重視してそうしています。
コンペのプレゼンでは、最終的にはデザイン、コスト、スケジュールなどの“中身”が評価されますが、それらを提示する前から「ユニオンテックにお願いしたい」と思ってもらえる状態をつくるのが理想です。最後のプレゼン一発勝負だと「初めまして」の状態で挑むことになりますが、私たちは事前に工夫して「いいね」を積み重ねた状態で最後のプレゼンを迎える。つまり「3番手の戦い方」とは、「信頼値を稼ぐ」こと。ブランド力がない会社が勝つには、これが最も手堅い方法なのかなと考えています。
鈴木:広告業界でいう中間セッションの使い方にも通じますよね。広告業界は、オリエンの次はいきなり提案で、一発勝負のケースが多いと思いますが、乱暴な進め方とも言えます。間のプロセスで定期的にクライアントとコンタクトを取り、認識のズレを防ぎながら進行する重要性を学ばせてもらいました。
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