世界的に抹茶が人気となり、争奪戦になっている。海外からの客が買い占めたり、生産者を訪ねて直接交渉をしたりと、活況だ。一方で、低品質の抹茶が流通する懸念も浮き彫りになり、農林水産省が日本茶を「地理的表示(GI)保護制度」に登録するなど、ブランドを守る動きも出ている。こうした抹茶バブルの現状や行く末について2001年に抹茶ラテなどが人気の「nana’s green tea」をオープンした「七葉」社長の朽網一人氏に話を聞いた。
七葉の社長、朽網一人氏
大分県に行ってまで観光客が抹茶を飲んでいる——。朽網氏が見たテレビ番組に映った、大分県・湯布院で女性の観光客が抹茶を楽しんでいる様子にヒントを得た。当時、スターバックスが日本に進出し、エスプレッソを使ったラテが人気だった頃。日本で抹茶を飲む場所というと、甘味処がほとんどで、今のようにカフェで抹茶の商品が提供されることはなかった。「抹茶こそ日本のエスプレッソでは」と考え、2001年に東京・自由が丘にnana’s green teaの1号店をオープン。世界へ日本の抹茶を広めようと、創業当初から世界進出を視野に入れていた。
日本国内でも店舗を展開し、2012年には海外1号店をシンガポールにオープン。2016年にはハワイに出店、2018年には米本土のシアトルに進出した。抹茶ビジネスはアジアでは過当競争だが、市場のポテンシャルの高さなどから北米での展開に注力。今でこそ関心の高さから抹茶を扱う店は増えたがまだまだブルーオーシャンだ。
一方で、北米での飲食店の進出は壁が高い。フランチャイズ運営をするうえで、信頼できる企業を吟味する必要があり、「提出書類など、米国(政府)から認められるためのコストは、とてつもない」(朽網氏)。物流においても、日本の質の高い抹茶を輸出するコストや、農薬、添加物の検査をクリアする障壁がある。そうした壁は多いが、北米のロイヤルティは高い。今年5月にロサンゼルス・パサデナに北米初の直営旗艦店をオープンしたところ、初日は深夜1時頃から開店まで約300人が並び、最大で2時間待ちになるなど、好調なスタートを切った。年内には新たにマサチューセッツ州のボストンやアイダホ州のメリディアンで新店舗をオープンする予定だ。

