デジタルデバイスの浸透や生活者の多様化から、「テレビCMが効かなくなった」と言われて久しい。しかし実際は、戦略のない大量出稿が効かなくなっただけで、自社にとって意味のある方法で実践している企業は成功を収めている。そこで、調査会社のインテージは、「テレビCMの真価を見極める」をテーマにしたセミナーを9月に東京・港区で開催。ソフトバンク、ライフネット生命保険、インテージがテレビCMの効果的な活用法について講演を行った。
第1部 ソフトバンクのテレビCMの活用について
【登壇者】
ソフトバンクコミュニケーション本部 広告宣伝統括部 宣伝部 部長 小林孝司氏
携帯電話やインターネットなどの通信事業を手がけるソフトバンク。2016年に10周年を迎えた「白戸家シリーズ」をはじめ、ユニークなテレビCMで加入者を増やしてきた。そのCM戦略を語るうえで、重要になるのは同社のカスタマージャーニー内でのCMの位置づけだ。
「携帯電話を買い替えるタイミングは、電話が壊れたときやローンを支払い終えたとき、転勤や家族が増えたときなどのライフイベントに関連しており、日常的に買い替えを検討している人は決して多くはありません。そんな中で、マスにリーチするテレビCMの役割は、携帯電話をいざ変えようというタイミングを迎えたときに、ソフトバンクを思い返してもらったり、店舗をのぞいてもらったりするための“ブランドストック”を溜めることです」
このブランドストックを効率的に蓄積するうえで核となるのが「CMフレーム」。そのフレームとなる「白戸家シリーズ」は、2007年6月から2016年8月までの10年間で合計212本も放映してきた。これだけ長く同じシリーズのテレビCMを続けることで、例えば白い犬が出てくるだけでソフトバンクのCMだと気付いてもらえるようになったという。

