【前回の記事】「興味の原石を宝石に磨き上げ、フリーライターになろう!」はこちら
私は今、岡山の表町商店街の中にある「ヒバリ照ラス」の看板娘を生業としながら生活している。ヒバリ照ラスはカフェやギャラリー、本や雑貨、それからトークショーやライブ、色んなことが一体化した店舗とゲストハウス、レンタルスペースを併設している複合ビルだ。
編集・ライター養成講座を受講した頃は、ひとつのお店の将来を背負うことになるなど思ってもみなかった。そもそもなぜ講座を受講したのかっていうと、私は出版社や編集プロダクションのような場所でこれぞ編集!って言えるような職業に就きたいと思っていたから。
そんな漠然とした感じで講座を受講していて、はっとしたことがある。「皆さんはどっちを目指してるんですか?」と聞かれて私は戸惑った。講座に通って初めて、ライターには取材をして伝える人、コラムやエッセイを書く人、二つの選択肢があることを知り、自分がとても世間知らずだったことに気づいたのだ。
コラムを書くなんて有名人の仕事かと思っていたけど私みたいな普通の人でも書くことができるのか!その場では、私なんかがエッセイなんてと恥ずかしくなって、結局どちらにも手を挙げることができなかったけど、それからはどうやったら自分が書いた文章を人に読んでもらえるのか考えるようになった。
とはいえ、地方での転職は思っている以上に難しかったし、コラムを書いてみたいんですと言っても無名の私にお願いしてくれるようなところなどなく、まあそうですよねって結果に終わった。
だけど私はいま「週刊私自身」というコラムを週に1回更新している。というのもそれからしばらくして、仕事帰りに立ち寄ったバーで「書いてみてよ。」って言われて、偶然にも私はひっそりと、そしてとても簡単にライターデビューを果たせたのだった。
それからというもの毎週コラムを書き、私の身の回りにまつわる小さなことをネタに探した。読者なんているのかなと思っていたけど、しばらくすると色んな人から「読んでるよ。」って声をかけてもらえるようになった。
コラムを書くようになってから「店は街のメディアだ」と教えてもらったことがある。お客さんが新しいお気に入りや価値を見つける時に「この店が勧めるなら間違いない」と思える店作りをしなければならない。そのために店は絶えず発信して自分たちのスタンスを表明する必要がある。その考えに共感した私は、当時構想中だったヒバリ照ラスの看板娘に自ら名乗り出た。
モノを書くということは何も出版社や編集プロダクションに勤めなくても、「ライターです!」と無理に力まなくとも、思いの外実現するんだってことを”サウダーヂな夜”というバーに出会ってから知った。
とはいえ、私が年間でライターとして手にするお金はせいぜい数万円程度。私にとってモノ書きは仕事のツールで、自分の付加価値として文章を発表していくことで、街にファンをつくり、色々な繋がりを手に入れ、店に来てもらうきっかけとなり、私自身が街で暮らしていくための心地よさを対価として生活している。
というわけで私は今、ヒバリ照ラスを街のメディアにすべく店長と共に奔走している。次回は仕事のツールとしての物書きについて、もう少し書けたらなと思います。
私がコラムを書いているサウダーヂな夜のサイト
鑓屋翔子
1988年大阪生まれ。岡山市在住。岡山市の表町商店街にあるヒバリ照ラスにて、できることはなんでもやりながら働いています。「編集・ライター養成講座」大阪教室修了生。
講師陣は、総合誌、週刊誌、ビジネス誌、ファッション誌、Webメディアなどさまざまな分野の現役編集長や、第一線で活躍中のライター・ジャーナリスト・作家など。多くの課題添削、実践トレーニングを通じて、現場で活躍できる編集者、ライターを養成します。
「編集・ライター養成講座修了生が語る いまどきの若手編集者・ライターの生き方」バックナンバー
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