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アトリビューション分析を軸にしたマーケティングにAIは欠かせない存在―「Marketing Nation Summit2018」

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2018年4月29日から5月2日の期間、米・サンフランシスコにて開催されているMarketoが主催する「Marketing Nation Summit2018」。Summitの中では新しい機能や技術などの発表も行われた。現地にてMarketo Chief Product Officer のMANOJ GOYAL氏にプロダクト開発の方向性を聞いた。
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Marketo Chief Product Officer のMANOJ GOYAL氏。

――Marketoにおけるプロダクト開発の注力領域とは?

現在、私たちのプロダクト開発における注力テーマは、3つある。ひとつはお客さまであるマーケターに対して、ボリュームの価値を提供することだ。マーケターの必要に応じて変化対応が可能な柔軟性、バイヤーが興味を示したタイミングでリアルタイムに反応ができるスピード感だけでなく、そうしたプラットフォームだからこそ実現できる一人ひとりのバイヤーに対してパーソナライズしたコミュニケーションを規模感をもって実行できる環境を整えることだ。

2つめがMarketoユーザーを対象にしたUXの向上だ。技術的な知識を豊富に持っていないマーケターであっても、より使いやすいシンプルなUXを目指した改善を進めている。これまでのエンタープライズ製品のUXの延長戦上にある改善ではなく、BtoC領域のサービスのUXくらいの使いやすさを目指している。

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UXの改善は、Summit内のプロダクトキーノートでも発表された。新しいインターフェースの名称は「Marketo SKY」。

3つ目がマーケティングとセールスのより強固な連携を実現する機能の拡充だ。昨年、セールスエンゲージメントプラットフォームのToutAppを買収したが、Marketoでは両社の強い連携があってマーケターの貢献が評価をされ、またその評価があるからこそ、マーケティング活動の精度もより高めていくことができると考えている。

そこで今回のSummitでは新たに「Marketo Sales Engagement」を発表した。これまでマーケターの活動はターゲットとなる顧客のプロファイリング、その潜在顧客に対するコミュニケーションを通じた育成、セールス部門に対する見込み顧客の情報提供にとどまっており、セールス部門からのフィードバックのデータがMarketoのプラットフォームに統合されてはいなかった。しかし、セールス部門も「Marketo Sales Engagement」を介して、マーケターとコミュニケーションをとることにより、マーケティング活動の貢献が可視化され、より成果につながるマーケティング活動の企画・実行を支援することができると考えている。

マーケティングとセールスの連携を支援する機能としては今回、「Marketo Paformance Insights」も発表した。この機能により、マーケターは自分たちの活動がどれだけのパイプラインをつくったのかを可視化してより簡単にセールス部門や財務部門、経営層にプレゼンテーションすることができるようになる。

常にマーケティング活動がどれだけの成果を生み出すかを把握できるようになるので万一、目標達成を阻害するような問題が発生している場合にも素早く察知し、組織として対応ができるようにもなると考えている。

今回、アトリビューション分析の技術を持つBizible社の買収も発表したが、前述の営業に対するマーケティング活動の貢献度の可視化だけでなく、顧客とのマルチチャネルでのコミュニケーションにおいても、どのチャネルにおける活動が成果につながったのかまでも把握できるようになる。アナリティクスはこの1年、特に力を入れてきた領域だ。

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プロダクトキーノートで発表された「Marketo Paformance Insights」のデモ画面。

こうした技術開発により、Marketoのプラットフォーム自体の完成度を高める努力をしてきたが、プラットフォームを完成させた次に必要なのが、そのプラットフォーム上で行われるマーケティング活動のスケールだ。そこで必要になるのがAIである。パーソナライズしたコミュニケーションをスケールをもって実行するには人の力だけでは実現が難しい。そこで当社では「Content AI」「Audience AI」と2つのAIを活用した機能を提供している。

「Content AI」は、顧客のコンテンツ消費のビヘイビアを把握・分析する機能だ。コンテンツ消費に関するビヘイビアをパターン化し、また反応が良かったユーザーの属性を導き出すことができる。これによりマーケターは、そのコンテンツに対する反応がよいであろうユーザーに対してだけ、アプローチすることが可能となる。

「Audience AI」はマーケターからのアプローチに対してポジティブなリアクションのあった顧客の属性を分析し、その属性に近しいオーディエンスに対して、拡張してコンテンツを届けることができる仕組みだ。
2017年8月にMarketoではGoogle Cloudとの提携を発表しているが、「Audience AI」はGoogle Cloudの技術も大いに活用していく。今年からは、Googleが提供する機械学習のソフトウェアライブラリである 「TensorFlow」もMarketoのプラットフォーム上で使えるようになる予定だ。

――顧客規模の少ない中小規模の企業においてもAIを活用したデータ解析は必要となるのか?

企業や顧客数の規模に関係なく、今後アトリビューション分析をベースにしたマーケティング活動が必要とされていくと思うし、そこではAIの力が必要となる。顧客数が少ない企業であっても、そのお客さまはモバイルもソーシャルも活用し、顧客接点が複雑化していることに違いはない。実際、我々のお客さまにも規模の小さい企業も多くいる。そうしたお客さまは、むしろ大企業のマーケターが実践するような活動を規模の小さい企業でも実現できること、しかもグローバルで実行できることに魅力を感じていると思う。