※本記事は、2022年8月1日発売の『宣伝会議』2022年9月号の転載記事です。
テレシー
ストラテジックプランニング本部 本部長
貴志和也氏
2011年にD2Cに入社。2013年に子会社D2C Rの立ち上げに参画、2018年にストラテジックプランニング専門組織を組成。2021年にD2CR取締役に就任、統合プランニングおよびソリューション領域を所掌。2022年にテレシー入社、ストラテジックプランニング本部本部長に就任。
Q. 広告主企業が抱える、動画活用の際の課題はなんでしょうか?
A. 動画を視聴した生活者に向けた、「受け皿」の設計。
どれだけ、素晴らしい戦略をもとにクリエイティブをつくりこんだ動画であっても、生活者視点に立った購入までの動線の中に、適切にその動画が位置付けられていなければ、成果に結びつかないことも多々あります。
特に高額であったり、カテゴリ自体に新規性があったり、生活者が強いこだわりを持つジャンルの商品・サービスでは、生活者は購買までにさまざまな情報に触れるため、動画以外の各接点での受け皿の設計が大きく成果を左右します。
例えば、私が以前担当した幼児向け教育教材のケースでは、生活者は認知から購買まで平均30日以上かけていました。調査の結果、生活者はその間に公式サイトや口コミ、教材の実績を調べており、SNS投稿量や信頼している人物が使用しているかどうか、決済/解約導線のわかりやすさなど、さまざまな要素が意思決定を左右することが明らかになりました。
このような場合、単体で見たときに動画がどれほど素晴らしくても、受け皿の部分が未整備では動画で勝ち取った認知や好意は成果になかなか繋がらないでしょう。しかし、大規模なプロモーションを実施している企業でも、受け皿が十分に整備できていないケースを数多く見かけます。
自社の商材・サービスのターゲットは、動画を視聴したあと、どう動くのか。そこで確実におさえるべき点はテコ入れできているか。この視点を含めて施策全体をプランニングすることで、動画の力を最大化できると思います。
Q. 動画広告の効果測定やその後の改善についてアドバイスをお願いします。
A. 広告の設計段階から評価方法を定め、的確にPDCAを回す。
オンラインとオフライン、認知と獲得など、今や動画の活用シーンは多岐にわたります。その効果測定において重要なのは評価の設計です。視聴デバイス・計測指標・視聴態度や視聴環境の異なる各施策を、いかに統合的に分析して評価するかは動画施策における大きなテーマになっています。
残念ながら、いかなる場合でもすべての施策を正しく評価できるという、いわゆる「銀の弾」のような手法はありません。逆に画一的な分析をしようとすれば、その結果をもとにリフトしやすい打ち手に偏重した投資になりかねず、全体として誤った結論を導きかねません。
ですからキャンペーンごとに評価すべきKPIを定め、それに適した効果測定手法を設計する必要があります。アクセスや成約数など、自社や実施メディアで取得できるアクチュアルデータで十分なこともありますが、KPIによってはプレ/ポスのアスキング調査や、ソーシャルリスニングなどを複合的に実施しなければ正確な評価ができません。
ここで重要なのは、PDCAのPlanの段階でこれを設計することです。キャンペーンを正しく分析し、次なる打ち手への解像度をあげるために、動画施策はPlanの段階における評価設計が肝要なのです。
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