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デジタル広告とテレビCMの統合指標で最適化を図る

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運用型テレビCMが花盛りだ。従来、パーコスト(視聴率1%あたりの買付単価)の高低など、おおまかな指標でしか検証できなかったテレビCMが、枠あたりの数値や放送直後におけるKPIの増減など、インターネット広告のような取り回しができるようになったためだ。

しかし、「運用型テレビCMは、慢性的な課題に直面している」とアイレップで運用型TVCM推進Division managerを務める冨田真吾氏は警鐘を鳴らす。

「地上波テレビ放送では全体的に視聴率の低下が生じていることから、スポットCMの在庫減少が起きています。結果として、運用できるテレビCMの枠の幅が狭くなっているのです。テレビCMだけでは、本来実施したいレベルで運用できず、広告主に成果をお返ししづらい状況になっています」(冨田氏)

では、どのような手立てが考えられるか。アイレップでは、インターネット広告と同様の指標でテレビCMの効果検証や成果シミュレーションを実施し、メディアプランニングの適正化を図っている。分析手法も放送直後だけではなく、放映期間中にわたって主要業績指標(KPI)を測定し、CM枠単位の視聴率の良し悪しや放送の成果だけではなく、テレビCM出稿全体での成果を実証できるようにしている。

 
「私たちが重視しているのは、なぜテレビCMを実施するのか、実施してどうだったか。次にどうすべきか、という説明責任を果たせるようにすることです。目的は、最終的なゴールとなる指標を増加させること。テレビCMを運用することではありません。目的に応じていわゆるロワーファネルの施策も必要になるかもしれませんし、YouTubeで十分かもしれません。大切なのは、なぜこのメディアプランニングなのか。次の施策をより良くするためにどんな意思決定材料が必要なのか、ということです」(冨田氏)

アイレップのテレビCM、デジタル広告――デジマスの運用型広告の特徴は次の3つだ。ひとつは、行動成果ベースで効果を可視化し、PDCAに生かすとともに説明責任を果たせるようにすること。2つめは、博報堂DYグループのメディアバイイング力を生かし、希望した広告枠の運用ができること。そして最後が、デジタルとテレビCMを統合した指標での分析だ。

たとえば効果検証でも、視聴率だけの評価ではなく放送後のWebサイト流入なのであれば、流入数が多かったほうに次も出稿したいと考えるのが自然だ。テレビCMのオンエアによってWebサイト訪問数が実施前より63%上昇したのに、サイト内でのコンバージョン率が2.6ポイントしか増えていないなら、テレビCMの“成果”は最大化できていないことになる。

「この場合、テレビCMではWebサイトに誘引する力はあった。ただし、購入完了に至るには、別の刺激が必要だったということ。こうして、より正確に成果と必要な施策を見出すことが重要です。テレビの成果を明らかにするのはもちろんですが、最終的にどんな成果を得たいか、得られるような施策を打てているか、という点がおざなりだと元も子もありません」(冨田氏)

アイレップが活用する分析モデルは大きく分けて2つある。ひとつは短期間スパイク検出モデルで、放送直後数分間の指標の変化を見る。放送枠や時間帯の選別に役立つモデルで、ゾーニングなどメディアプランニングの最適化や保有中の枠の買い足し、素材変更などの根拠にもなる。

 
もう一つは「時系列統計モデル」だ。放映期間中という短期間スパイク検出モデルより長いスパンで、サイト流入やサイト内コンバージョンといったKPIが、どれくらい上昇したかを算出する。ポイントとなるのは「もし、CM放送がなかったら」という仮想の状況を推計する「因果推論」という手法。実際の成果と「因果推論」で推計した非介入(放送しなかったとしたら)の成果の差として、テレビCMによってもたらされた効果を明らかにする。

短期間スパイク検出モデルで、反響のあった枠を買うというのが主流。アイレップのやり方は時系列統計モデルで、テレビCMだけでなくYouTubeやTVerなども同じ指標で計測、評価して全体最適を図る。

「博報堂DYグループで所有しているさまざまなデータに基づいて、効果のシミュレーションを実施し、最適なメディアプランに落とし込むのが、当社の得意分野」

需要期に向け、まずは小さい投資でテストマーケティングを実施する、あるいはテレビCMで成果を出すために、最初はYouTubeで検証してみるという考え方もある。結果、大きな予算を必要とする首都圏でのテレビCM放映の際に、成果が出るプランニングでの実施が可能になる。

テレビCMの指標を視聴率ではなく、「インプレッション」に換算しているのも特徴的だ。こうすることで、ネット広告と同列で比較することができる。インプレッションは、何人が何回見たかで算出する。テレビ1台で、CMを4人が1回見れば4インプレッションという具合だ。

実際、同じGRPでもインプレッションでは異なる数値が出ることは少なくない。たとえば、500GRPで出稿したテレビCMが関東エリアでは1億インプレッション、中部エリアでは2600万インプレッションというケースがあった。さらにCPCで見ると、関東が1200に対して名古屋が3000だった。

「こういった指標で分析するからこそ、中部エリアは関東や関西と比べて何がどのように異なっているのか、同じターゲットセグメントでも別の属性があるのではないか、という振り返りができるようになります」

これらの分析結果は、自社開発ツール「x2 supported by TV AaaS」で可視化している。テレビ単体のダッシュボードではなく、YouTubeとの予算配分を因果推論を用いてそれぞれの投資対効果を推計。放送規模、配信規模で配信量を算出して、どれくらいの顧客生涯価値を見込めるから予算配分を定める――といったプランニングに活用できるツールだ。

「テレビとデジタルで、汎用的に使える比率というものはないと思います。指標を見ながら、自社の商品やサービスに特化した正解を見つけ出すことが重要です。当社は『x2』で最適な比率を突き止めるところまでたどり着きました」

 
冨田氏が考えるデジタルとテレビCMを連携した運用型広告には3つのステージがある。

「いますぐできることは、テレビCMとコネクテッドテレビ広告の連携です。次の段階は、それにネットの動画広告を統合する。テレビやスマホ、パソコンなどデバイスをまたいで、統合的に運用する。最初の段階より難易度は上がりますが、取り組みはじめた企業はあります。そして、リスティングをはじめとしたオンラインでのロワーファネルの広告との統合。いわば、オンオフすべてを定量的に分析していく、という段階です」(冨田氏)

より詳細に反響がわかるとして、運用型テレビCMへの期待は高まってきている。

「ですが、いわゆる運用型広告に25年以上携わってきた当社から見ると、テレビCMの運用のレバーや施策の種類・数は、まだまだこれからだと思います。予算の追加やキャンペーンの停止、素材の差し替えという肝の部分は、ネット広告のほうが圧倒的に柔軟性が高いと感じます。言い換えれば、デジタルとテレビCMの統合的な運用にはまだまだ進化の余地が多く残されているということです。当社としてもクライアントの皆さまと一緒に考えていきたいと思います」(冨田氏)
 

冨田 真吾 氏
株式会社アイレップ
ストラテジックプランニングUnit
運用型TVCM推進Division Division manager

2007年にDACに入社。媒体社向けのソリューション営業、アクセス解析の事業推進を経て、運用型広告の責任者として業務に携わる。2017年からの3年間、コンサルティング会社でテレデジ広告ソリューションを推進しさまざまな広告主企業へ導入。2020年11月にアイレップにジョインし、現在は運用型テレビCM推進Division Division managerに着任。

 

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