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潜在的な人的資本、学生の目に「統合報告書」はどう映っているのか

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一橋大学大学院 円谷昭一教授の研究室では、学生が各社の統合報告書を研究するプロジェクトを行う。企業にとって潜在的な人的資本でもある学生は、何を見ているのか。企業への期待が高まる情報とは、どのようなものなのか。

※本稿は『広報会議』2023年6月号の「サステナビリティこれからの伝え方」特集 より抜粋しています。
 

一橋大学大学院
経営管理研究科 教授
円谷昭一

 

「統合報告書について学生からの意見がほしい」。こういった企業からのオファーを受け、一橋大学大学院・円谷昭一研究室では、「学生による統合報告書感想プロジェクト」を2022年から開始。本プロジェクトは、大学1年生が統合報告書を読み込み、競合他社との比較検討も行うものだ。

学生と投資家の目線には当然違いがあるものの、「次世代の投資家・取引先となる若い層は、どのような情報が知りたいのか」という企業からの関心の高まりが、このプロジェクトの背景にある。

加えて、同大学には、就活時に統合報告書を読み込む学生が一定数おり、面接時に報告書に書かれた内容を逆質問したり、複数の内定を絞り込むときの最終判断材料にしたりしているという。では、学生からの評価が高い統合報告書にはどのような共通点があるのか。一橋大学大学院教授の円谷昭一氏に話を聞いた。
 

専門用語は言い換えを

まず、企業への理解が進む報告書は「ビジュアル・内容共に分かりやすい」。ビジュアル面でいえば「字が小さすぎない」「図解が多く使用されている」「専門用語や社内用語が使われていない」ことが重要だそう。内容面でいえば「課題から結果的にどう改善していく予定なのかが分かる」「将来の展望に沿った構成になっている」ことが挙げられるという。

「社内用語に関しては、つい当たり前に記載してしまいがちですが、社外の投資家にとっても分かりにくいもの。内容の充実を図るだけでなく、こうした細かい表現についても意識が向くとより伝わる統合報告書になります」(円谷氏)。
 

入社後成長できる社内環境か

では、分かりやすさがクリアされたとして、次世代のステークホルダーになり得る学生は、統合報告書の何を見ているのか。

働く先としての企業の魅力を知りたい学生にとって関心があるのは、面接や説明会だけでは分からない「社風や社内環境」についてだ。

「入社する企業を最終判断する際に、社内の実情が分かる情報を探し、比較検討している学生は少なくありません。自分がこの企業に入って成長できるのかといった指標のひとつとして、人的資本の情報は重要だと考えている学生もいます」(円谷氏)。
 

学生はどこを見ているのか

また、すでに投資家目線を持つ学生もいる。円谷氏が2022年、JSI(ジャパン・スチュアードシップ・イニシアティブ)と共同で、一橋大学の学生408名に実施した調査によれば、会社のサステナビリティ活動全般を高評価しているわけではなく、あくまで企業の経済活動に関与する領域におけるサステナビリティ活動を評価していることが分かった。……

※この記事の続きは『広報会議』2023年6月号 にてお読みいただけます。

広報会議2023年6月号

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