コラム

コピーライター養成講座 講師・卒業生が語る ある若手広告人の日常

この仕事に就けて良かったと思うとき

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大津健一(東京アドエージェンシー プランナー/2002年春・基礎コース修了)


前回のコラムはこちら

今回で僕のコラムは最後になります。
これから目指していくこと、気をつけていることをお話ししたいと思います。

プロのプランナーとして

クライアントは、商品、マーケット、そしてターゲットを深く理解しています。
手間と時間さえかければ、今の延長線上のコミュニケーションプランは
なんてことなく立案できてしまうはずです。

ど派手で新しいことをやればいいというわけではないけれど、
オリエン内容を疑ってかかるくらいの気持ちで、ゼロベースで考え抜かないと、
手間を省くだけの単なる代理プランナーになってしまうという危機感があります。

“前回の踏襲が今の課題解決にベストだ”と確信できる場合を除いて、
「クライアントの頭が固いから」と言って前のプランをトレースしただけの企画や、
「競合他社もやっていますよ」と流行のツールを加えただけの企画を出すことは絶対に避けたい。

前回案やオーソドックスな案と大きく異なるプランを提案するのは、膨大な量の準備と勇気が必要ですが、
本質的なソリューションに迫るプランナーをめざしていきたいと思います。

「三方よし」の「世間よし」の視点

もうひとつ心がけているのは、近江商人の理念として知られる三方よし
「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「世間よし」の視点です。
クライアントが儲かるプランであるのはもちろん、
ターゲット、生活者にとって本当にプラスになるかという視点で企画をチェックすることが必要だと思います。
その広告で行動を起こしたターゲットがちょっとでも騙されたと思わないか、さらには心から喜んでくれるか。
生活者が発信力を強めた今、誠実でないコミュニケーションはもはや通用しないのではないでしょうか。
制約がひとつ増える分、ハードルは上がるかもしれませんが、
結果的に一番の近道になるのではないかと思います。

「才能がない」を理由にしない

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10年前の講座の資料と課題。今も本棚の隅に置いています。

時折、第一線でご活躍されているプランナーの仕事量、その時間と集中の度合いを垣間見ることがあります。
才能も抜群にある方々なのでしょうが、あの情熱と仕事量を見てから、
「オレは才能がないから」とは言えなくなりました。
前を走っているプランナーは自分よりずっと速くそして長い時間走っていたのです。
講座で金の鉛筆をもらえなかったトラウマは結構大きいのですが(笑)
以来、才能のありなしに脅える暇があるなら、もう一案作るよう心がけています。

恐れずに手を挙げる

僕はコピーライターではありませんが、この仕事に就けて良かったと思うときがあります。
時間を忘れて企画を考えているとき。
プレゼンで先方が強く頷いてくださるとき。
そしてリスクをとってGOサインを出してくださるとき。
キャンペーンが成功に終わり、みんなでお酒を飲むとき。

しかし、まだまだこれからです。
できないかもしれないこと、恥をかくかもしれないことへも、貪欲に手を挙げていきたい。
ここでは書けない理不尽なことや自分の不甲斐なさに枕を濡らす夜も多いですが、
今、そう思っています。

コラム内コラム
日々心がけていること(3)
クライアントをいつまでも愛する。

戸練直木さんの「50のキーワードで知る 勝てる広告営業。」にあった言葉です。
僕なりの解釈ですが、広告会社が提供する商品のクオリティは、
決まったカタチがない分、スタッフの情熱に左右されることも多い。
仕事をしていく上で、クライアント(そのサービス)への愛または信頼が
ベースだと思うのです(好きでないものを他人に薦められないですよね)。
ただ、真剣に仕事をすればするほど、揉めると思います。
先方はお客様であり、対等ではありませんが、
どうしても納得できないことがある場合は正対してきちんと話し合うべきだと思います。
そうして強い関係を築いていくことが、
一緒に良い広告を送り出していくために大切なことだと考えています。

大津健一さんのコラムは今回で終了です。次回(5月7日)からは永友鎬載さん(電通)のコラムを掲載します。

大津健一(おおつけんいち)
1978年福島県生まれ。福島大学行政社会学部卒業。ファーストリテイリング、アレイを経て、現在、東京アドエージェンシーでWeb施策を中心としたプランニングを行う。PRSJ認定PRプランナー。宣伝会議コピーライター養成講座・基礎コース(2002年春コース)修了。

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