小島雄一郎(プロモーションプランナー)
はじめまして。
「ジブンと社会をつなぐ教室」電通プロジェクトチームの小島雄一郎と申します。
昨年、教室のきっかけにもなった書籍「広告のやりかたで就活をやってみた」を書かせていただきました。本を書くという行為は初めてだったのですが、編集者さんとのこんなやりとりをよく覚えています。
「小島さん、もっと言い切ってください」
基本的なスタンスから細かい言い回しまで、言い切って欲しい編集者さんと言い切りたくない私のやりとりは、いつしか恒例行事のようになっていました。中でも大きな問題となったのがタイトルです。「受かる自己PR」や「必勝面接法」のような、言い切るタイプの書籍が上位を占める中「やってみた」なんて煮え切らないタイトルで本当に戦えるのか。そんな声があがりました。結果的には半ば強引に今のタイトルにさせていただき、たくさんの反響も得られたのですが、今でもこのタイトルやスタンスには様々なご意見をいただきます。
なぜそうまでして言い切りたくなかったのか。それは広告にも就活にも「正解がない」ということをお伝えしたかったからです。例えば広告の仕事は、毎回商品も違えばターゲットも違います。周辺環境だってどんどん変わっていきます。その中で常に悩み、常に考え、今の商品にとって「正解らしいもの」を不安の中で選択し続ける仕事です。「受かる自己PR」のように「売れる広告」なんて言い切れるものはどこにもないのです。そんな中、広告にあるのは「正解がないものへの向き合い方」や、「悩み方」のノウハウ。書籍では、それをお伝えしようと考えました。
就活生は不安です。その気持ちに答えようとすれば、言い切った表現が有効なことはよくわかります。しかし就職活動=広告活動という前提に立った以上、あたかも正解があるかのようなアプローチをしては、自分たちの仕事にも嘘をつくことになってしまう。それだけはしたくありませんでした。
このスタンスは、今回の教室にも引き継がれています。
「ジブンと社会をつなぐ教室」なんて、一見わかりにくいタイトルをしているのもそのせいです。(教室のタイトルについては、また別の機会に)
正解がない問題に向き合うことは、とても辛いことです。ただ同じくらい楽しいことでもあります。考えてみれば、人生なんて正解のないことばかりです。正解のない問題に向き合う力とは、もしかしたら人生を楽しむ力かもしれません。
この10月、みなさんの人生を楽しくするお手伝いができることを、私たちも楽しみにしています。
小島雄一郎(こじま・ゆういちろう)
プロモーションプランナー
2007年、立教大学法学部卒業後、電通に入社。5年間の営業経験を経てプランナーに転向。第1回販促会議賞シルバー、第2回販促会議賞協賛企業賞、他受賞。著書に「広告のやりかたで就活をやってみた」(宣伝会議)
ジブンと社会をつなぐ教室プロジェクトチーム(マスメディアン×電通)バックナンバー
「ジブンと社会をつなぐ教室」バックナンバー
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