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コラム

全日本広告連盟 創立60周年特集

トヨタ、サントリーなど広告主5社が登壇――全広連60周年記念 特別シンポジウム(3)

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社員を奮い立たせる広告――大和ハウス工業・山本氏

広告が社員に勇気と誇りをもたらす

山本氏
大和ハウス工業 取締役常務執行役員
山本 誠氏
1976年大和ハウス工業入社。2005年総
合宣伝部長、06年から執行役員。11年
取締役上席執行役員東京支社長兼総合
宣伝部門管掌などを経て現職。コーポレ
ートコミュニケーション部門を担当する。

山本(大和ハウス工業):当社はハウスメーカーの一社と認識されていますが、戸建住宅の売り上げは全体(約2兆円)の約18%(3600億円)に過ぎません。時代の流れの中で企業の姿も変わってきており、コミュニケーション活動もそれに合わせて進化させる必要があります。

企業が続いていくなかで、もしかすると30年後には今のコア事業はコアではなくなっているかもしれません。そのときどのような事業をしていたとしても、常にお客さまから選んでいただけるような企業ブランドを、本社と現場が一体となってつくり上げていくことが求められています。

コミュニケーションの担当部署には2つの役割があります。ひとつは、社会に対して広くメッセージを発信すること。当社の取り扱う商品は高額で、広告で売れるものではありません。そのため、社名を常に想起していただくこと、企業理念や考え方を知っていただき、共感していただくことが重要です。

もう一つは、社内に会社のメッセージをきちんと伝えることです。当社に寄せられるクレームの原因は、ほとんどがヒューマンエラーによるものです。それを防止するには、社員の意識を変え、モチベーションを高める必要があります。それは経営層が指導するだけでは不十分で、広告などを通じて社員に勇気と誇りを与えることが非常に重要です。

例えば、テレビCMなどが話題になることで、「会社のCM見たよ」と、奥様やお子さん、ご両親など、身近な人との間で話題になれば、「自分はダイワハウスの社員としてきちんとした仕事をしなければ」と意識を高めてくれるはずです。一人ひとりがブランドを意識して良い仕事ができれば、商品やサービスの質も上がり、お客さまからの信頼も得られるはずです。

ダイワハウスはこの4月から、経営管理本部のなかに新たにコーポレートコミュニケーション部門を立ち上げました。その中には、広報、宣伝、渉外の各部署を置いています。これまで、これらの部門はバラバラに活動していましたが、これからは、「社会との関係づくり」を行う部門として、話題性の高い情報発信や、B to Sを意識したパブリックコミュニケーションを推進していきたいと考えています。

広告宣伝は経営戦略 営業戦略ではない

河本(トヨタマーケティングジャパン):一気通貫でコミュニケーションを図るというのは、実はトヨタ自動車がトヨタマーケティングジャパンという別会社を立ち上げた理由でもあります。

ところで以前、御社のトップは「広告なんかいらん。足で稼いでこい」と話されていたと聞いたことがあります。もっとも、今では大変面白いコミュニケーションを展開しています。しかも社名を「ダイワハウチュ」と言ってしまうところなどは、トップがよく承知したなと驚いています。なぜ、大転換をすることができたのでしょうか。

山本:たしかに以前、当社には宣伝部がありませんでした。約9年前、現在の会長に呼ばれ、広告宣伝についてどう思うか聞かれたので、「広告宣伝は営業戦略ではなく経営戦略だと思う」と話すと、それを実現させるように言われました。「ダイワハウチュ」のCMは多くの方から「役員会をよく通ったね」と言われましたが、報告はいつも局入れの直前で、事前の相談はしていないのです(笑)。

会長も社長もコミュニケーション活動関連には一切口を挟みませんが、「責任を持ってやれ」というメッセージだと捉えています。よく我が社のコミュニケーションが変わったと言われますが、これは経営トップの理解によるところが大きいと思います。理解があるからこそ、私も妥協せず、思い切った決断ができます。これからも話題性のあるコミュニケーションで社内外を元気にしていきたいと思います。