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コラム

朝の連ドラ「あまちゃん」で人気沸騰! “北鉄”(=三鉄)の本当にあった話

NHKがやってきた

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そんな中、12月9日13時30分。NHKのプロデューサー訓覇圭氏、菓子浩氏のお二人が三陸鉄道本社(宮古市)の望月正彦社長を訪ねてきました。用件は「来春からのドラマを考えています。岩手の三陸地方と三陸鉄道を登場させたいと考えています。ぜひ三陸鉄道にも協力して頂きたいのですが」とのことでした。

望月社長は、連日多くの取材を受けており、番組化なども度々出てくる中、これは三鉄にとってとてつもない朗報かもしれない、と直感したそうです。「喜んで、全面的に協力させて頂きます」と応えました。

私にもすぐに連絡がありました。

望月「草野さん、NHKのプロデューサーが来て、三鉄を中心としたドラマ化を考えているといわれました」
草野「じゃじゃじゃ……凄い話ですね!」

※「じぇじぇじぇ」はまだ世に出ておらず、沿岸では「じゃじゃじゃ」が本流。

望月「まだ内緒にして欲しいって言ってました……」

そんなやりとりがありました。ともかく、三鉄はトップの即決で、久慈にいる北リアス線運行本部の責任者、金野淳一と部下の橋上久慈駅長が担当に任命され、「普段通りの運行」と「ロケ支援」の両立という難題に取り組むことになったのです。

翌年、2012年6月20日にプロデューサーが再来社。「実は朝の連続ドラマです。主な内容は…‥」と具体的な話となりました。当時は、震災から一年経過の話題が多く、8月のお盆を控えて各地で追悼行事の企画が目白押し、民放各局も盛んに特別番組を放送していました。

回想シーンで度々登場する「北鉄開業の日」のロケ現場。

三陸鉄道は、(あまちゃんでも紹介された)「奇跡の復活、大震災より5日で部分再開」の事実が大きな話題となり、常に取材対象。私が会長を務める「三陸鉄道を勝手に応援する会」の宮古支部にも、各局から取材オファーが舞い込み、ほぼ毎日のように三鉄がメディアに登場していました。

そんな経緯もあり、社員は番組化程度で驚くことも少なくなっていたのですが、さすがに連ドラとなるとその放送時間は膨大です。1日15分×週6日=週90分、半年2クール分の放送ですから、民放ドラマで言えば4クール分です。

対応窓口に任命された北リアス線運行部の金野本部長は、「大変なんですよ。列車を相当動かさなくてはならないみたいで。撮影は、夜中とか早朝とか運行時間外に限られますしね。どうも中途半端なオーダーではないんです」と、興奮しながらも嘆いていました。この金野本部長、ドラマの中で三鉄を走らせる際には、全て運転手を担当していました。

NHKのプロデューサーは、久慈市はじめロケが想定される種市や普代村などにも協力依頼に回っていましたが、連ドラ協力がどれだけ地域に恩恵をもたらせる話なのか、ピンと来ない行政の担当者もいたようです。

三鉄にとっては、「宝物」を運んできてくれたプロデューサー。ここから、三鉄と「あまちゃん」の長い付き合いが始まりました。