地域で活動するクリエイターは、その土地の特性を生かしたプロダクトやサービス、表現を生み出すのはもちろんのこと、その魅力を世界に向けて発信することで、業界全体に大きなムーブメントを起こしたり、日本の、そして各地域の魅力を再認識してもらうきっかけをつくることもできるようになりました。
コミュニティの密度が高いからこそ実現する企画、その地に暮らしているからこそ発想できるアイデア。テクノロジーの発展によってそこに情報の発信力、メッセージの拡散力が加わったことで、地域で働くクリエイターができることの可能性は大きく広がりつつあります。
第1弾の好評を受けて実現した、この 「いま地域発のクリエイティブが面白い! Vol.2」には、広告のみならず、プロダクト、パッケージ、空間、建築と幅広い領域のクリエイター9人が登場。地域で働くクリエイターが感じている「限界」、そして「可能性」とは?
等身大で、自分の仕事の今と、未来に向けた思いを語ります。
花岡洋一、山根シボル、トミモト リエ(株式会社人間)
はじめまして。株式会社人間のトミモトリエです。
東京(郊外ですが)で生まれ、東京で育ち、東京でアパレル業界とWeb業界を渡り歩き、「クリエイティブな仕事をするならやっぱり東京だよね」と思っていた私が、なぜかこの春から大阪に移住し、「人間」という変な会社に入社しました。
今回、東京出身の私が「東京と大阪のクリエイティブの違いを語ると面白いのではないか?」と社内で提案され、この「地域発のクリエイション」というテーマのリレーコラムを書くことになりました。これから書くことは、あくまでも、東京から大阪に移住して4カ月と間もない私の主観であり、偏見も混ざっているかもしれないことをご了承ください。
「人間」は、大阪生まれ大阪育ちのコテコテの大阪人2人がつくった、“人を笑かすこと”をミッションとしたWeb制作会社です。
代表の花岡洋一と山根シボルは専門学校時代の同級生。学生時代から「人間」というユニットでアホな作品を、Webを舞台に制作していたのが話題になり、いつの間にかそれが仕事になっていたというのが、会社設立の流れです。
現在、私を含め6人の社員が所属しています。Web業界の“おバカ部門”として、よくバーグハンバーグバーグさん、カヤックさん、LIGさんなどと比べられることが多いのですが、ほとんどのおバカ系企業は東京周辺に集まっており、地方で頑張っている会社は少ないので、必要とされているかどうかは別として、大阪での“面白Web制作会社”としての地位は独占状態です。
3年前にリリースした、鼻毛が出ている人に優しく教える鼻毛通知代理サービス「チョロリ」がテレビや雑誌などで話題になり、Web業界で認知されるようになりました。最近では、大阪発のおばちゃんアイドルユニットを起用して制作したリクナビNEXTのプロモーションサイト「オバチャーンダイレクト」など、大阪の面白さを生かした企業のプロモーションサイトを多数制作しています。
“笑いの聖地”である大阪で、面白い会社が少ない(目立たない)という現実……。母数の問題もありますが、そこには、“笑い”を中心とした独自の文化を大切にするがゆえに保守的で排他的になっている大阪人の気質が関わっていて、大阪で「新しいこと」や「面白いこと」をやるということは、とてもハードルが高いからだと思っています。
だからか、大阪ではサブカルチャーやアートの文化が定着しにくく、Webに関しても少し遅れている印象を受けます。大阪は商売の町と言われるだけあって大企業や広告会社は多いのに、クリエイティブやIT系の企業は目立たない。関西でクリエイティブやIT系のイベントを行う場所といえば、大阪ではなく京都になってしまうのです。
ファッションに関しても、大阪人はヒョウ柄、トラ柄など派手なものを好む傾向はありますが、東京のように多様化していません。原宿を代表するロリータなどのデコラティブなファッション、渋谷を代表するギャルファッションの人たちはあまり見かけない。東京ではサブカルチャーがメインカルチャーにのし上がるような流れがありますが、大阪ではあくまでも、少数派なのです。
これは、大阪でものづくりをする上で、とても重要な定義だと思います。
「いま、地域発のクリエイションが面白い!第2弾」バックナンバー
- 地域の老舗企業が、個人のアートディレクターに仕事を依頼したわけ(2014/10/03)
- 「札幌は、コピーライターにとって楽園である」——その心は…?(2014/9/26)
- よくある質問「ローカルだといい仕事はあまりないんじゃないの?」に答えます!(2014/9/08)
- 人々の想い×オバケのアイデア×変幻自在のクリエイティブチーム=世の中を良くするソリューション(2014/8/29)
- 懐深い名古屋の地で、「アフリカ×デザイン」「あかちゃん×デザイン」という独自性を育む(2014/8/22)
- その地の人々の暮らし方を、働き方を、そして生き方を良くするデザイン(2014/8/19)
- 1次、2次、3次、そして6次産業は、クリエイティブの力でもっと面白くなる!(2014/8/01)
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