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“ビッグ”すぎるデータはいらない!?必要なのはお客様の気持ちを見える化すること

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商品に「DNA」を付与して管理

オギノでは顧客属性の分析に際して、4万点以上の取扱商品に「商品DNA」を付与。「健康」「お買い得」「便利」などのキーワードをつくり、1年に1度バイヤーが決められた時期に、担当する商品の特徴を表すキーワードを選んで付与する作業を行っている。

「商品は常に入れ替わっていくので、1年に1度決まった期間に一斉に作業を行うのがポイント」と手塚氏は話す。

さらに、それぞれの顧客がどんなDNAを持った商品を購入しているかで属性を分類し、その属性に合わせたクーポン付与を始めとしたプロモーションを実施してきた。ちなみに、その属性分類は細かくは30、大きくは8つに分けているという。

例えば、鯵という商品一つとっても生鯵、3枚におろしたフィレ、フィレに味付けしたもののどれを購入するかで、顧客属性はがらりと変わる。

生鯵は60代~80代の高年齢層で「品質こだわり」「和食手作り」といった特徴が見えてくる。

一方で味付けフィレを購入するのは、30代~50代が中心で、年齢層が若くなる。

あるいは同じ米の銘柄「こしひかり」を購入した人でも、無洗米を購入する人の同時購入商品にはレトルト・インスタント、普通鶏卵、カットレタスなどのアイテムがあがってくるが、普通の「コシヒカリ」購入者は特殊鶏卵、削り節といったアイテムがあがってくるなど、こだわりのある食生活、調理に手間・時間をかけている層であることが見えてくる。

オギノではこうした分析を商品部、店舗運営部と共有し、販促計画やレシピ提案に活かしてきた。

さらに2005年からは会員カードを刷新し、カード番号をバーコード管理に切り替え。またリアルタイムPOSレジシステムを導入し、顧客別に異なるクーポンを印字したレシートを瞬時に出せるリアルタイムPOSレジシステムも導入し、プロモーション活動を進化させている。

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1996年よりFSPの取り組みを継続してきたことで、顧客との関係強化はもとより、仕入れ先であるメーカーとの共創関係が始まり、さらに採用活動においても、「データ分析に興味がある」と志望する学生が出てくるなどリクルート活動にも好影響を与えている。

115メーカーが参加する研究会

お客様を理解し、よりそれぞれのお客様に喜ばれるプロモーションを行おうと継続的な取り組みをしてきたオギノ。その取り組みは、仕入れ先のメーカーをも巻き込む活動となっている。

現在、同社では収集・分析したデータを仕入れ先のメーカーと共有して次なるプロモーションに活かす共創の場である、「FSP研究会」を年に5回開催しているのだ。研究会参加企業は115社に上る。

「同時購買データの分析は、共同販促のアイデア開発につながります」と手塚氏。

さらに新商品発売時など、特定属性の顧客にだけ絞り込んだサンプリングを行うなど、メーカーのマーケティング支援につながる活動もしている。

山梨県内も他県同様、高齢化が進み、食品をはじめとする市場は縮小傾向にある。オギノではポイントカードを軸にしたデータの分析を通じ、約45万人の「お客様の声」と向き合いながら、一人ひとりの顧客に適した提案をしていく考えだ。


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