開発思想を共有する
さて、マーケティングツールを導入する際には、導入して使う側が一度は検証しなければならないことがある。とかく日本企業は、自分たちの業務フローの善し悪しを検証することなしに、システムを自分たちのやり方に合わせようとする。日本のSIerが存在するのもこうしたカスタマイズが当たり前だからだ。
しかし、よくよく考えると、桁違いの開発力でつくられて、非常に多くの企業に導入されているマーケティングツールには、素晴らしい設計思想があり、その思想を理解して、使う側の発想をそこに合わせた方がうまく使えるということがある。
日本に参入してきたテクノロジー企業が、日本企業があまりにカスタマイズを要求するので対応できずに撤退したという話はよく聞く。
例えばCMSなどのツールもいろんなカスタマイズ要求をし過ぎて、バージョンアップに対応できなくしてしまう例もある。新しい知恵を享受できなくしてしまうわけだ。
筆者は昔、自分の会社でオムニチャーのサイトカタリストのセールスパートナーとなったことがある。パートナーとなるためには社員の何人かに研修を受講させないといけない。受講料もかかるのだが、受講してきた社員に聞くと「非常にためになった。発想が変わった。」という者もいて、「ああ、ここはツールを売っているのではなく、メソッドを売っているんだな」と感じたことがある。
導入するからには、そのツールの設計思想を理解して、優れていると思ったら、むしろ自社の業務フローなり、施策の進め方を、その思想に応じて変革してみようとするくらいでないといけないのではないか。
そのあたりはマーケティングサイドより情報システムサイドの人の方が、理解があるかもしれない。
DMP導入は、企業変革のチャンスである。
情報システム、広告マーケティング、広報、企業サイト運営部門、そうした事業横断部門が、DMPをきっかけに連携を強めると同時にお互いに違い文化とスキルの交流を深めて新しい人材を育成する「場」をつくることが、次世代マーケティングに適応する最良な策であることは間違いない。
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