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メッセージアプリが生活の中心へ—販促NOW<MOBILE APPLICATION>(31)

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ここでは、『販促会議』2015年11月号に掲載された連載「販促NOW-アプリ編」の全文を転載します。


日本におけるスマホのメッセージアプリと言えばLINE。軽快な操作性と豊富でかわいいスタンプの存在によって、一気にメジャーとなった。LINEがないと仲間はずれになるからと、わざわざガラケーからスマホに乗り換えた人もいて、一躍「社会インフラ」になってしまった感もある。すでにLINEは日本だけでなく、台湾やタイといった東南アジアやスペイン、中東などでもユーザーが広がっている。

一方、中国となると、LINEは苦戦を強いられている。テンセントというネット企業があり、「WeChat」と呼ばれるメッセージアプリを提供しているからだ。すでにWeChatは、9億人のユーザーがおり、中国人のメッセージツールとして、社会インフラのようになっている。

WeChatは銀行口座と連携し、生活に必要なさまざまな支払いに対応できるようになっている。

店頭ではiPadのアプリで金額を入力後、表示されるバーコードやQRコードをスキャン。

実際、中国に住む友人とのやりとりはもっぱらWeChatを使っている。ちょっと前まではLINEだったが、中国政府が海外のアプリやサービスの利用を遮断したのか、メッセージの送受信ができなくなってしまった(中国ではフェイスブックやYouTubeといったアメリカ発のサービスに接続できない)。そのため、結局はWeChatでやりとりすることになったのだ。先日、その友人に上海で再会したのだが、会っている最中も、その友人は他の人とWeChatを頻繁にやりとりしていた。ただ、メッセージ送り合うだけでなく、時々「よっしゃー」とガッツポーズをしている。聞いてみると、ゲームをしているようで、現金化できるポイントをゲットしているようだった。

その後、WeChatの進化について聞いたのだが、今では単なるメッセージやゲームだけでなく、様々なサービスを展開しているとのこと。例えば、通販サイトと連携するだけでなく、携帯電話の料金やガス、水道、電気などの支払いができる。また鉄道などの検索、予約なども行える。生活に必要な支払いなどがWeChatを窓口にできてしまうのだ。LINE もすでに「LINE Pay」といった決済サービスや、出前の注文、音楽配信サービスなどサービスの範囲を広げている。WeChatも誰もが使う基幹サービスから多角化を進めているのだ(WeChat Payment)。かつては、iモードのように携帯電話会社がそのような役割を担ったが、スマホ時代となり、メッセージアプリが、生活の中心になろうとしている。

その流れを受けて、日本でも決済サービス「WeChat Payment」を受け付ける店舗が出始めてきた。大丸松坂屋では9月30日より基幹8 店舗でWeChat Payment の支払いに対応する。もちろん、中国からの旅行客への利便性向上のためだ。WeChatのユーザーは店頭でバーコードやQRコードをスキャンするだけで支払いが完了する。中国からの買い物目当ての客数は伸び続ける一方だが、彼らに支払いの多様性を提供する上で、WeChat Paymentへの対応は避けては通れないのかも知れない。


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■プロフィール
石川 温氏(いしかわ・つつむ)
ケータイ・スマートフォンジャーナリスト。1999年に日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。『日経トレンディ』編集記者を経て03年に独立後、ケータイ・スマホ業界を中心に執筆活動を行う。メルマガ『スマホ業界新聞』(ニコニコ動画)を配信中。

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