本は発売前に徹底検証できる唯一かつ最強のジャンル
権八:『人生はニャンとかなる!』も、みんなアウトプット見て、「うまいこと人の名言借りてきて、犬の写真くっつけて売りやがって」と見えるけど、その過程において、コンセプトから、読者にとってどう見えるかの検証を何百通りもしていて。だから、「天才の倒し方」の基本は「段取り」みたいなことを言ってて。てなに?ブログで書いたことは話さないつもりなの?なんで俺が解説しなくちゃなんないのよ(笑)!
水野:いや全くその通りで(笑)、もっと言えば「本」は最強のジャンルだと思っています。何が最強かというと、「サンプルとゴール(完成形)がほぼ同じ」ということ。映画だったら脚本はゴールと全然違いますよね。でも、本はパイロット版であり、サンプルがほぼお客さんが見るのと同じもの。これは本というジャンルに許された大きな強みです。僕は本を出す前に、サンプルをつくって人に読んでもらいます。いろいろな人の意見を聞く。ただ、こう言うと、「水野はマーケティングね」となりますが、全然違う。また、ラムにたとえを戻すと・・・。
一同:笑
水野:「うちはラムしか出せないんだ」と。マーケティングで鶏と言われても関係ない。ただ、このラムをうまくするためには100人に試食させて、もういろいろな味付けを全部試してやる、ということなんですよね。
澤本:なるほど。
水野:だから、本を出版する前にありとあらゆる層の人、主婦でも若い人でも読んでもらって、どういう意見が来るかは全部見たうえで、もちろんその人達と違うほうにいくケースもありますが、徹底検証できるジャンルが本なんですよ。だけど、これをやっていない人が非常に多いなと思って。
権八:すごいな。
中村:新作の話も聞きたいんですけど、先に曲に行ってみたいと思います。水野さんの「後輩オーディション」なるもので選ばれた・・・
権八:何だよ、それ(笑)。
水野:後輩っていい単語だなって思ったんです。全国から後輩を募ったら楽しいんじゃないかと思って、Webで「後輩を募集します」と出して。それで来たのが、このノリアキくんです。彼をミュージシャンとしてプロデュースしようと。僕よりも古屋くんという同じ中学高校の同級生がメインでやっていた企画ではあるんですけど、一時期、ネット界隈では有名になっていました。
中村:早速、聞いてみましょうか。
権八:え、ほんとに聴くの(笑)?
水野:ノリアキで『スカイフィッシュ』。
権八:・・・これ、なんで全部聴かなきゃなんないの(笑)?
一同:笑
水野:僕も途中で終わるのかなと思ったら、最後まで。
権八:フルコーラスで。
水野:ありがたい。素晴らしい番組ですね。
中村:歌詞は水野さんが書かれて?
水野:いや、古屋です。古屋がほとんどで、僕が手がけた歌詞もあるんですけど、これは古屋の歌詞の曲で、ノリアキの中でも一番ヒットした有名な曲で。
権八:知らねーよ(笑)。
澤本:これも検証を繰り返したんですか(笑)?
水野:バシッと切れ味のいい皮肉、きましたね(笑)。これは全く検証していなくて、ビジュアルと一緒に見てもらいたいところもあって。ノリアキは引きこもり顔の本当に引きこもっていた奴なんですよ。それが後輩オーディションをたまたま受けに来て、古屋がメインでプロデュースして、LAまで行って海外ロケをして彼のDVDをつくったり。
権八:えー!
中村:本当にプロデュースだったんですね。
水野:ガンガンしてましたね。それでお金を使いすぎて、残り100万円ぐらいになって、「もうやばい!」となったときに作ったDVDが『温厚な上司の怒らせ方』です。それがヒットして何とか助かったという。こういうことばっかりやって、どんどんお金がなくなって、レコード会社の人も「どうなんだ、お前ら」みたいな。まぁ、よかったですよね。だって、これがヒットするわけないじゃないですか。みなさんも失笑だったじゃないですか(笑)。
一同:笑
中村:フルコーラスを聞いてるときのブースの雰囲気といったらなかったですからね(笑)。
水野:失笑の嵐でしたよ、本当に。
権八:すごい。でも、みんなのやる気をなくさせるのに十分な力はありましたね(笑)。
中村:残念ながらお時間です。来週は水野敬也さんの後編をお届けします。みなさんの質問やお便り、何でも構いませんのでドシドシくださいませ。メールアドレスはsuguowa@tfm.co.jp。また、「すぐおわ」Facebookページにコメントを書いていただいたものもお便りとみなして、どんどん読んでいきます!
<END>
構成・文 廣田喜昭
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