クリエイティブブリーフの基本 8つの要素とは?
消費者の心理や行動を理解し、広告開発プロセスに取り込む手法。広告の設計図であるクリエイティブブリーフを発想のジャンプ台に、コミュニケーションをつくるアプローチ。心を動かすツボであるインサイトを重視する。
アカウントプランニングの武器は「インサイト」と「クリエイティブブリーフ」。ここではクリエイティブブリーフに触れましょう。なぜなら、雑誌『宣伝会議』で連載していたとき、もっとも反響が大きかったのがクリエイティブブリーフだったので。90年代〜2000年代にマス広告の基礎を学んだ人(特に外資系)にとっては当たり前のツールですが、若い世代、とくにデジタル系の人には新鮮なのかもしれませんね。戦略を1枚のペーパーに集約し、クリエイターに伝えるもの、いわば広告の設計図がクリエイティブブリーフ。フォーマットはさまざまですが基本的には以下の8つの要素を含んでいます。
①広告の目的(何を達成するのか)
その広告を、どんな目的でつくるのか。そのコミュニケーションによって達成したいことを明確に書く。
②ターゲット(誰に語りかけるのか)
コミュニケーションによって認識の変化を起こしたい「理想顧客像」を書く。ブリーフを受け取った人が人物像をいきいきと思い浮かべられるかがポイント。
③現状(どう思われているか)
ターゲットが、そのブランドをどのように認識しているか。定量・定性調査などで判明した、現状のブランドパーセプションを書く。
④将来像(どう変えたいか)
現状のパーセプションをどのように変えたいのか、そのブランドのゴールともいうべき姿を書く。
⑤コンシューマーインサイト(心を動かすツボは)
現状のパーセプションを、将来像=ゴールとなるブランド像に変えるためには、どんな深層心理をつけば心が動くか、欲しくなるか、そのツボを書く。
⑥プロポジション(何をメッセージするのか)
ターゲットに対して、何を伝えるのか。ブランドからのPropose(提案)なので、ブランドを主語として書く。
⑦信じられる理由(根拠は)
プロポジションが納得できる理由を書きます。商品の属性や性能が書かれることが多いが、企業イメージや生産国/エリアのイメージなど商品外の特性でもかまわない。
⑧トーン(どんな語り口、雰囲気で伝えるか)
説得調なのか、エンターテインメントとして見せるのか、社会的なテーマとして共感させるのか、などなどメッセージをより強く伝えるために、どの語り口がよいかを書く。
一枚に集約することで戦略がクリアになり、共有しやすくなる便利なツールです。僕も普段からブリーフに落としたらどう書けるか?という着地をイメージしながらプランニングをしています。
というわけで、駆け足でしたが、今回はここまで。次回は、引き続き「ダイレクト論」「IMC論」について、解説していきたいと思います。
「広告でいちばん面白いのは表現じゃない。戦略だ!」バックナンバー
- 國田圭作×磯部光毅「人間の習性や行動メカニズムを使って人を動かす『行動デザイン』とは?」(2016/11/24)
- 磯部光毅×寄藤文平「戦略プランナーとアートディレクターによる“戦略史”トーク」(2016/10/17)
- 森永乳業 寺田文明×磯部光毅「広告主の課題意識は、広告戦略からコミュニケーション戦略へ」(2016/7/08)
- 磯部光毅×野添剛士「戦略の『型』を知っているから、プランニングが自由になる」(2016/6/28)
- 7つの戦略論をコンパクト解説 その3「エンゲージメント論」「クチコミ論」(2016/6/14)
- 7つの戦略論をコンパクト解説 その2「ダイレクト論」「IMC論」(2016/5/13)
- “戦略迷子”にならないために、これだけは知っておきたい7つの戦略“流派”。(2016/4/22)
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