「超パーソナライズ時代」の幕開け
「IBM Amplify2016へ、ようこそ。私たちは、これまで以上に顧客を深く理解にはどうすればいいか。皆さんと知見を共有できることを嬉しく思います」—米IBMのWatson IoT・コマース・教育担当ゼネラルマネジャーを務めるハリエット・グリーン氏は、特徴的なハキハキとした語り口で開会を宣言した。
「我々は、カスタマー(顧客)のWeb上の行動、店鋪に訪れる人数や人気・不人気なエリアの洞察に加え、ソーシャルメディアで不意に現れるブランドへの感情的な投稿や天候情報など、より多くのデータをすべてリアルタイムに取り込み、分析できるようになりました。結果、(これまで企業には全貌が明らかになっていなかった)カスタマージャーニーで、個々の顧客がどういったステージにいるのかを理解することが可能になったのです。この理解こそが、顧客接点の垣根を超え、消費者個々に関連深い体験を設計するためには欠かせません」(グリーン氏)
壇上には次々と企業の有力者が登場する。一番手は、YOOX NET—A—PORTER(ユークス・ネッタポルテ)グループの最高情報責任者、アレックス・アレキサンダー氏だ。昨年、伊オンライン高級ブティック「ユークス」と「ネッタポルテ」が合併してできた企業で、250万人の顧客基盤と、月間ユニークユーザー2700万人を抱える。両社合計の2015年の総収入は170億ユーロ(2兆1017億円)。「ネッタポルテ」は4月、ティファニーが、自社サイト以外で初めて商品をネット販売するサイトとして選んだことでも視線を集めた。
アレキサンダー氏は、「どうすれば消費者を企業活動にもっと巻き込み、共に歩いていけるのでしょうか?」というグリーン氏の質問に対して、こう答える。
「そのためには、顧客一人ひとりに合わせた対応(パーソナライズ)が不可欠でしょう。いまよりもコミュニケーションをさらに細かくカスタマイズして、個人個人に適した体験を用意する。ひとりずつ、購買を後押しするインスピレーションを提供するのです。デジタルでも物理的世界でも関係なく–そもそも消費者は、オンラインストアと実店舗を区別していませんがね。とにかく、企業は個々の顧客をきちんと把握しなければなりません。性別や年齢といった属性だけでは、彼らの心の奥底にあるものを見抜くには力不足です。だからデータが必要となるんです」
次に登壇した米カラー・ランのマーケティング&テクノロジー担当副社長のカイリー・ニューボールド氏も、パーソナライズの重要性を語る。同社は色鮮やかなパウダーにまみれながら5キロメートルのコースを走るイベント「Color Run」を運営する企業で、2015年には世界35カ国以上で225回のイベントを開催した。毎回、数千人~1万人規模の参加者が集まる。
「Color Runは各国の都市で開催するため、そのときその街で何が起きているのか、を考慮することを重視しています。同じコミュニケーションとなる都市はなく、イベントプロモーション時は各国市民に合わせたタイミング、メッセージを用意しているんです。それもパーソナライズの亜種と言えるのでしょうね」(ニューボールド氏)
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