【前回コラム】「アムステルダムの中心にある「ファブラボ」で起きていること」はこちら
みなさん、デザインシンキングやサービスデザインといった言葉を聞いたことがありますでしょうか?
こうした言葉を日本で耳にすることが増えたのは、もしかしたらここ数年、といった感じかもしれません。例えば、デザインシンキングを得意とする世界的なデザインファームIDEOに、博報堂DYホールディングスが出資したというニュースが流れたのは2016年でしたし、R/GAがついに東京オフィスを開設するというニュースが流れたのは今年2017年の前半でした。
実は私は今年の前半、所属するニューロマジックの活動として、「メディアラボアムステルダム」に通っていました。いわゆる社会人留学として、世界でもトップを走るオランダのデザインシンキング、そしてサービスデザインを学んだのでした。
アムステルダムのクリエイティブの底上げを図る、メディアラボアムステルダムとは?
ということで今回は、日本と比べると欧州、特にオランダで発展している、デザインシンキング・サービスデザインついて、メディアラボアムステルダムでの実体験を通してご紹介します。実は、こうした組織がアムステルダムのクリエイティブ産業の底上げを図っているからです。
メディアラボアムステルダムは、アムステルダム応用科学大学(The Amsterdam University of Applied Sciences)に所属する「デザイン&リサーチラボ」です。クリエイティブインダストリーの変化と発展に対応した課題創造と解決を目的として、2004年に発足した産官学による共同経営組織。人材の交流や市からプロジェクトの依頼なども受けており、クリエイティブ産業を支える人材育成が行われています。
とまあ、ちょっと小難しいので、ここではイメージとして「大学院(のようなところ)」と思っていただければいいかと思います。
参加者は世界中から集まるデザイン、リサーチ、プログラミングなどを専門とする優秀な学士、修士、博士過程の学生、そして社会人です。全20週のプログラムは、チームを組んでプロジェクト学習型のスタイルで進みます。1チームは5人前後。チームごとに取り組む課題が違います。基本的には企業や行政などのリアルな課題のソリューションを提供することを目的としています。日本からも九州大学芸術工学部の学生などが参加しています。
課題はチームごとに違いますが、「サステナブルな社会を実現するために」というのが共通テーマです。企業の利益誘導をするといった目的のプロジェクトは扱われません。なので例えば、「うちの商品が売れなくて困っている。ついては世界に向けた画期的なキャンペーンをお願い!」という課題はありません。念のため。
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