世界のクリエイティブをリードするアムステルダム
さて、こんなメディアラボアムステルダムを率いるのはディレクターのGijsとMarco。デザインをデザインで終わらせるのではなく、エクスペリエンスやサービスなどへの橋渡しをして、社会的なイノベーションを起こす。サステナブルな社会を実現していくため、オランダの産官学を柔軟につなぎ、学生にとっても最高なクリエイティブ環境を提供しています。
彼らはメディアラボアムステルダムを中心組織に、「Global Goals Jam」というデザインスプリント(デザイン上の問題を解決するために短い期間で拘束にプロトタイピングと検証を行う)も主催しています。国連の定めたサステナブルな地球環境のための15項目の課題をデザインで解決する、誰でも参加が可能な世界規模のデザインスプリントです。日本でも行われていますので、ご興味のある方はこんなところに参加してみるのも、アムステルダムのクリエイティブに触れることができるチャンスかもしれません。
アムステルダムのクリエイティブに触れられるという意味で言うと、デザインの無駄を排する極めてオランダ人らしい発想から開発された「デザインメソッドツールキット」なるものがあります。デザインやサービス、ビジネス開発における無駄を排する、かつメソッドを網羅した非常に実戦向きなオランダらしいデザインツールです。メディアラボアムステルダムでも、大いに活用しているツールです。もしご興味がある方は、こちらでどうぞ。
また現在、筆者はメディアラボアムステルダムOB・OG組織の活性化に関わっていますが、ここで学んだ学生たちは、素晴らしいクリエイターとなって世界中で活躍しています。こうしてアムステルダムのクリエイティブのボトムアップが図られているのを実感しています。
今回はたまたま日本で実績のあるシステムをベースにした提案が採用されたのだと思います。クリエイターとしてのひらめき、というか、全く異質なものを結びつけたり、新たな提案を生み出したりという能力が機能したようで、そういう意味で、日本人クリエイターのクリエイティブなものを生み出す姿勢や熱意、そして経験は十分に通じると思ったのです。
なのでぜひ、仮にデザインシンキングという言葉になじみがないとしても、世界の情報やネットワークに触れてみてください。日本のみなさんが、世界に出てこないのが少しもどかしく、もったいなくも感じるので、機会があれば筆者の経験を日本のクリエイターやクライアントの皆さんにドシドシ還元したいと思っています。
筆者が評判を落としてさえいなければ、GijsとMarcoも日本人クリエイターの優秀さを実感しているはず、ですから。
以上、アムステルダムクリエイティブの底上げを図るメディラボアムステルダムのご紹介でした。
<著者プロフィール>
吉田和充(Creative Business Development/Branding Designer/Creative Director/保育士)
1972年東京生まれ。1997年慶應義塾大学卒業後、博報堂入社。CMプランナー/ディレクターとして、40社、400本以上のCM制作を担当。ACCグランプリ、コピー賞などを獲得。
在職中に1年間の育児休暇を取得し、家族でアジア放浪へ。2016年、子どものクリエイティブな教育環境を重視してオランダへ移住。2017年現在、Neuromagic Amsterdam BV CEO、個人事務所SODACHI CEO、STYLA TOKYO クリエイティブディレクター。広報広告全般からマーケティング、企業の成長戦略策定、ブランディング、新規事業立ち上げ、新商品開発、Web制作、サービスデザイン、海外進出などクリエイティブ業務全般を担当。
アムステルダム市との協働プロジェクトとして、アムステルダム市の「粗大ゴミの処理問題」にも取り組む。
元サラリーマンクリエイターの海外子育てブログ『おとなになったらよんでほしい|おとよん』連載中。
「クリエイティブシティ アムステルダムから送る「越境のススメ」 」バックナンバー
- 広告は未来をデザインするものであってほしい(2017/12/14)
- 日本×オランダの協働プロジェクト開始 越境は「スピード感」が命(2017/11/29)
- 「サービスデザイン」の最前線を、マドリッドのグローバルカンファレンスで体感してきた(2017/11/21)
- 元CMプランナーがラーメン店をプロデュース。クリエイターの「越境力」(2017/11/08)
- Brexit問題がアムステルダムのクリエイティブ産業を活性化する?(2017/10/19)
- アムステルダムの中心にある「ファブラボ」で起きていること(2017/9/20)
- 世界でいま最も熱いクリエイティブシティ、アムステルダム(2017/9/07)
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