コラム

クリエイティブシティ アムステルダムから送る「越境のススメ」 

元CMプランナーがラーメン店をプロデュース。クリエイターの「越境力」

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日本との違いは仕事の取り組み方

現在、来春オープンに向けてプロジェクトが動いていますが、ここで、こうしたプロジェクトの進め方における日本との違いにフィーチャーしてみます。

まず一番感じるのは、それぞれ携わるスタッフが、みんなフラットな関係であるということ。これはクリエイターに限らずオランダの国民性によるところも大きいかと思います。

また、オープンであることも感じます。例えばですが、スタッフは皆、自分の時給をオープンにしています。こちらでは時給計算でギャラを計算することも多いのですが、時給いくらの人が何時間働くかということをプロジェクトの開始時期に計算して、オープンにします。

実は筆者もオランダに来た当初は、こうした慣習にびっくりしたこともありました。まず難しかったのは、クリエイターにありがちな、「時間があればあるだけ考えよう」という思考パターンから抜け出せないことです。ただこれさえも慣れてくると、仕事の効率がかなりよくなることを実感しています。常に自分の時給を意識して、自然と仕事には集中できるようになり、できるだけ早く終わらせるようになります。

クライアントにとっても、いたずらに長時間働かれるよりも、短時間でパッと働いて、成果が高い人の方がいいに決まってますからね。個人的には、同じ案件があったとしたら、日本で働いていた時と比べて、半分くらいの時間になっている感覚でしょうか。

基本的には、1日の労働時間は多くても8時間、週40時間なんていうことも徹底しています。残業は、よっぽどでないとしません。ここにかかる賃金もグッと高くなりますから、これまた当然、クライアントは支払いたがりません。

こういうことも含めて、全体的には非常に働きやすい環境が整っています。

また建築分野の話でいうと、オランダでは大きなコンペでは、今は施工までの責任を持つデベロッパーがコンペに参加できるようになっており、建築家はあくまでもそのデベロッパーの下でコンペに参加します。なので、例の国立競技場のように建築デザインは決まったものの、実際の施工段階で予算大幅オーバーで白紙に戻る、ということはないようです。

来春オープン予定のラーメンレストラン「にっこう」が、どんな様子になるのか?日本のラーメンはオランダで通用するのか?はたまた、日本人クリエイターはアムステルダムで通用するのか? 皆さんには、ぜひこの過程も伝えていきたいと思います。働き方や、オランダのクリエイテイブ、そして世界でクリエイターが働くことに関してのヒントがたくさん詰まっていると思いますので。

ということで今回は仕事の範囲の「越境」をススメてみました。ここを意識すると今までと違った視点が持てるはずです。

個人的には、日本の本格的なラーメンがオランダで食べられるようになって非常に嬉しく思っていますが、鰻屋さん、うどん屋さん、天ぷら屋さん、とんかつ屋さん、なんかも来てくれると嬉しいです!その際は、ぜひお声がけくださいね。



「にっこう」の看板ラーメン 鶏白湯の塩(左)、日香麺の醤油(右)

<著者プロフィール>

吉田和充(Creative Business Development/Branding Designer/Creative Director/保育士)

1972年東京生まれ。1997年慶應義塾大学卒業後、博報堂入社。CMプランナー/ディレクターとして、40社、400本以上のCM制作を担当。ACCグランプリ、コピー賞などを獲得。
在職中に1年間の育児休暇を取得し、家族でアジア放浪へ。2016年、子どものクリエイティブな教育環境を重視してオランダへ移住。2017年現在、Neuromagic Amsterdam BV CEO、個人事務所SODACHI CEO、STYLA TOKYO クリエイティブディレクター。広報広告全般からマーケティング、企業の成長戦略策定、ブランディング、新規事業立ち上げ、新商品開発、Web制作、サービスデザイン、海外進出などクリエイティブ業務全般を担当。
アムステルダム市との協働プロジェクトとして、アムステルダム市の「粗大ゴミの処理問題」にも取り組む。
元サラリーマンクリエイターの海外子育てブログ『おとなになったらよんでほしい|おとよん』連載中。

 

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