杉咲花ちゃんが登場して活性化したソフトバンクCM
権八:花ちゃんは白戸家の中でどういう位置づけでしたっけ?
澤本:ものすごい説明が難しくて。白戸家の上戸さんの旦那さんとして古田新太さんが来たんだけど、家庭的に旦那として適格かどうかをお試し期間にすることになるんですね。そのとき古田さんの連れていた子どもです。
杉咲:そうです。竹内涼真さんと私が。
権八:連れ子。ということは上戸彩ちゃんの娘?
澤本:娘なんだけど、正式な婚姻届けは提出されてないんだよ。古田さんが放浪の旅に出てしまって、子ども2人だけが白戸家に残ってるという。僕も言っていてものすごい恥ずかしいです。
権八:いやいやいや(笑)。それあまり大っぴらになってない事情ですか?
澤本:事情というかそこまで説明してないんだよね。
権八:でも何となくいますよね(笑)?
澤本:何となくいるというか、花ちゃんは白戸家になくてはいけない人になって。
権八:そうそう、もちろんそう。年齢でいうと妹ぐらいかなと。
澤本:まぁでもあれ親父が犬だからさ。
権八:犬だから何でもアリで(笑)。
澤本:でもね、花ちゃんが入って白戸家は活性化したという言い方するとアレだけど。
杉咲:えー、いやいやいや。
澤本:監督に、このコンテのままだとさほど面白いかどうか自信ないと話したら、「じゃあこれ花ちゃんにお願いする」と。それで花ちゃんが見事に面白くしちゃうわけですよ。
杉咲:いやちょっと待ってくださいよ。それは違います。
澤本:いや本当、本当。お世辞じゃなくて。
杉咲:いやもう本当に澤本さんが毎回つくってくださるコンテが面白すぎて、毎回撮影が楽しみなのと、あとその場でたまに生まれることもあって。それがめちゃくちゃ面白いんですよね。即興じゃないですけど、ささっと描いたコンテが読んで思わず吹き出してしまうような。私の中で一番印象に残ってるのは白戸家のこれまでのシーンを映画化したじゃないですか。それです。
澤本:あ、はい、映画の宣伝の15秒CM。
杉咲:私がコメントしているという設定のCMがあって。あれはその日に考えられたんですよね?
澤本:そうですね。
杉咲:私が「今までの歴史を振り返るともう泣きそうです」と言ってるんですけど、一滴も泣いてなくて、泣き真似をしてティッシュで拭きながら投げ捨てて。それで最後に「まだ見てないんですけど」って言うんですよ。それが面白くて。
権八:あ、なるほど~(笑)。面白いじゃないですか~。
澤本:今、バカにしたよね、絶対。そこそこだなという目で見た(笑)。
権八:違う違う、何言ってるんですか。面白いよね。
杉咲:面白いです。
権八:花ちゃんはさっきも話しながら自分でクスクスと笑っちゃう、ちょっとゲラというか、笑い上戸ですよね?
杉咲:そうかもしれないですね。
権八:前、さんまさんの番組か何かでクスクスって笑うのがかわいいなと。笑い方が特徴的で。
杉咲:変ってよく言われます。ありがとうございます。
ワンテイク追加はCMならではの撮影方法?
権八:CMは急にできたセリフが意外とよかったりするんですよね。
澤本:真面目な話をすると、もともと想定で書いていても、現場に行って聞いてると、今この声で前の人がしゃべったのを受けて、花ちゃんのセリフだったら、たとえば「さよなら」よりは「さいなら」と言ったほうがいいことってあるわけですよ。それについては「すみません、最後にワンテイク多くなるけど、これお願いします」と言って、コショコショッてもっていくという。
権八:あと、現場で見てるとセリフを思いついたりするんじゃないですか。
澤本:しますね。「これを言ってくれ」と書いたものを渡すタイミングが難しくて、現場が緊張したりテンパったりしてると、「今更もってくるのかおまえ」という感じになるし。
杉咲:なるほど、そこでも戦いがあって。
澤本:そうですね。もっていって撮った結果、つまらないこともよくあるわけですよ。
権八:そうなんですよね、難しい。やっぱり遠慮しながら渡すんですよね。だって女優さんからしたら仕事が増えるでしょ、嫌でしょ、早く帰りたいよね?
杉咲:いやそんなことないですよ。楽しいです。
権八:逆に面白くなるならやってみたい?
杉咲:そうですね。意外な角度からくるとワクワクしますし、そういうのはドラマや映画の現場ではあまりないことなので、とても新鮮ですね。
権八:めちゃめちゃ良い人じゃないですか。
杉咲:そんなことないですけど。
澤本:映画でそれをやろうとしたら僕は怒られたよ。映画の現場で監督に「このセリフも」と言ったら、横にいた人が「何考えてんだ」という雰囲気で。
杉咲:確かに映画やドラマはもうワンパターン撮っておくというのはあまりないので、CMならではですよね。
権八:意外とそのほうが面白かったりするんですよね。
澤本:でも考えたらCMってそれだけ時間を贅沢に使ってるんだよね。
権八:そうですね。映画でそれやっちゃいけないのはスケジュールがキチキチだからですよね。
澤本:あとは変えちゃうと編集のパターンも無限にできちゃうからね。
権八:花ちゃんは好きなドラマは海外も含めると詳しそうですね。
杉咲:詳しいかどうかはわからないんですけど、映画はここ4年ぐらいで見るようになって、それまでは本当にドラマしか見てこなかったので。
澤本:あ、そうなんですか?
杉咲:はい、映画は1年に1本見るか見ないかぐらいだったんですよ。でも映画の現場に携わらせていただくようになってから、映画の現場の良さも知って、どんどん興味が出てきて。映画いいなと思ったけど全然知らないと思って、そこから見るようになって。岩井俊二さんの映画や矢崎仁司さんの『三月のライオン』も好きですね。
権八:映画と言えば、花ちゃんは『湯を沸かすほどの熱い愛』に出てましたよね。中野監督もこの番組に来たんですよ。
澤本:中野さんは僕、じつは昔から知ってて。
杉咲:えー、意外な。
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