1960年に日本デザインセンターの創立に参加し、同社の最高顧問を務めた梶祐輔氏。コピーライターとして、アサヒビール、野村証券、トヨタ自動車など各社の広告づくりを担当。また、国鉄民営化に伴うJRマーク、トヨタマークのデザインなど、CIディレクションを手がけたことでも知られる。
そんな梶氏が2000年に雑誌『宣伝会議』で連載した原稿に、大幅に加筆し、仕上げたのが本書『広告の迷走』だ。2001年に書籍として出版された本書が、このたびキンドル版として配信を開始した。
約40年にわたり第一線で活躍してきた著者から見ると、現在(執筆当時)の日本の広告は「幼形成熟」した状態。広告本来の役割を果たしておらず「から回り」をしている状況にあったという。「目先の商品を売ること=広告」であり、多くの企業が商品の品質や、価格や、性能といった物性にとらわれ、企業や商品の思想、ビジョンを伝えてこなかったことを指摘する。
プロモーションとアドバタイジングの違い、テレビCMや新聞広告の課題、宣伝部の組織の在り方、ブランドに対する問題意識、デザインの重要性など、本書に著者が残したことは、2020年代の現在においても、多くの広告人が考えてなくてはいけないこと、課題としてとらえていることと言えるだろう。
メディアが多様化し、広告が従来の「広告」の体をなさなくなりつつある昨今、広告の意義や本来の役割が見えにくくなっている。そんな時代に本書は、広告が企業や社会、そして未来にどんなことをもたらすのか、改めて考えるきっかけとなるだろう。
梶祐輔
大阪府生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。株式会社電通を経て、1960年日本デザインセンター創立に参加。コピーライターとして、アサヒビール、野村証券、トヨタ自動車など各社の広告づくりを担当。また、国鉄民営化に伴うJRマーク、新しいトヨタマークのデザインなど、CIディレクションも手がける。2009年逝去。執筆当時、日本デザインセンター最高顧問。東京コピーライターズクラブ会員、東京アートディレクターズクラブ会員、日本広告学会監事、朝日広告賞審査員、毎日広告デザイン賞評議員、日経広告賞審査委員
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
『広告の迷走-企業価値を高める広告クリエイティブを求めて』キンドル版
目次
序に変えて
第1章 「商品を売るのが広告」という偏見と誤解
第2章 「企業イメージ」という考え方の曖昧さ
第3章 「商品に差はない」という広告の思い上がり
第4章 テレビCMの「有名タレント依存症」
第5章 「農耕民族」の座に安住した新聞広告
第6章 新しい新聞広告の登場がおそすぎた
第7章 ブランドについての問題意識がなかった
第8章 広告新時代の全貌が見えていない
はじめに/あとがき/解説でざっくりわかる 宣伝会議のこの本、どんな本? 関連記事
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