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「オワコン」なんて言わせない! 現役・大学生編集長が考えるルッキズムが問題視される時代の『東大美女図鑑』

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vol.14の編集長としての今後

理念という土台が整ってようやく、腰を据えてvol.14のテーマを考えることが叶いました。「袋小路感がある現状を変えたい。『コンテンツ』と連呼するけれど問題を感じているのはコンテナの方だ、ちゃんと開いて中身も見てほしい。『東大美女図鑑編集部』というブラックボックスも透明にしたい。編集部員も魅力的なんだから。自分の世界を広げたり、ときにはちっぽけに見せてくるロールモデルに出会う、そんな経験の一部にある媒体でありたい。女子高生だけでなく、東大の女子学生にとっても。」

考えるまでもなく強い想いが湧いてくる。それをどの様な言葉とかたちに落とし込めば伝わるのか、つまずきも成長も好奇心も描き出せたら良いなと、唸りながら模索し続けました。

さて、テーマは文面としては固まったものの、未だ机上、それを具現化するあゆみは軽やかとはいえません。ジェンダー、ルッキズム、意図しないかたちで届くことのないように一つひとつ確かめながら進んでいます。

それでも、自分たちが進むべき方向や届ける相手が確かになった今の編集部なら、ぶれることなく完走できるという確信が沸いています。2021年3月現在も新型コロナウイルスの感染が拡大し続ける状況であり、刊行時期は不明ですが、安全を第一に、楽しんで制作したいと思います。

【取材を終えて】

「このままでいいのだろうか?」。明確な違和感を抱いたのはプレスリリースを出すという段階だったというのは、先述の通りです。その際、失礼を重々承知の上で東京大学情報学環の講義でお世話になっていました、『宣伝会議』編集長の谷口優先生に「課題意識が面白く、大学生がこれに取り組んでいる過程を公にする価値が十分にあると思う」と温かいお言葉をいただき、講義内で自身が抱えていた葛藤と課題についての取り組みを企画として提出するに至りました。

講義内の質疑応答では、多くの着想を得、また盲点に気づかされることも多々ありました。他の受講生の方のご助力は講義外でも厚く、最終講義後お願いしたアンケートにも丁寧な回答をお寄せいただきました。

「話を聞いて『東大美女図鑑』のイメージは変化したか」という問いに対しては、回答者全員のチェックが「変化した」についておりまして、その変化について「東大女子への偏見を解消し東大を志す女子学生を増やしたい、というパーパスを持って活動していると知ることができた」「画一的・ステレオタイプに基づく『美女』ではなく、現代のリベラルなジェンダー観に即したより自由な『美』の意味付けをしていることが分かった」「内面の美しさを加味し、各人の個性を生かすことを運営側が考えているのは驚いた」とご教授いただき、大変心強く感じました。

さらに、『東大美女図鑑』の美点として「東大内で少数派の女性にフューチャーしている点」「テレビ番組のような外部の視点ではなく、学内のサークルから東大のイメージやブランドを変化・形成しているところ」など、改善点としては「編集部の考えを発信する力が必要なのではないか」等のご指摘をいただきました。

これまで編集部内では「裏方の苦悩を書いて、それを見たい人はいるのだろうか。」「『東大美女図鑑』に期待されているのは、東大美女だけではなかろうか」という懸念が強く、編集部の姿や考えを表に出すことはしてきませんでした。

『東大美女図鑑』という看板と歴史ゆえに現在直面する問題は少なくありません。けれど、それを看板も歴史も背負ったままだから気づくことのできる問題は、「東大女子」を取り囲む偏見や固定観念の解消に繋がっているのではないかと考えています。課題を見つめ、丁寧に取り組むことを今後も続けていきたいです。

望月 花妃(もちづき・はなき)氏。

東京大学法学部政治コース4年。同情報学環研究生1年。『東大美女図鑑 vol.14』編集長兼企画・ライター統括。本の虫で、年間365本の焼き芋を食べている。