コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

インターネットで「メディア」は生き残れるのか? JICDAQに取材して考えた

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このままでは短期的には稼げても長期的には“ダメダメ”スパイラルに陥るだけ

昨年はこの連載でこんなことを書きました。

ネット広告はテレビ広告を超えたけど、ネットメディアはマスメディアを超えたのか?

この記事は、電通発表の2019年の「日本の広告費」で、ネット広告費がテレビ広告費を超えたわけですが、それはプラットフォームが力を強めているだけで、ネット上のメディアは大して伸びていない、という内容です。

だからこそ、ネットメディアは広告収入を稼ぐのに必死になっているのでしょう。読者の気持ちに気を配っている場合ではない。でも、そんな姿勢だと私のようにもうあのメディアは嫌いだという人が続々出てきて、短期的には稼げても長期的にはダメダメなスパイラルに陥るだけではないでしょうか。

そんなところにニュースが届きました。

「JICDAQ」スタート!

おお、そうでした!様々に取材した際、「改善の努力」を象徴したのが2019年11月の日本アドバタイザーズ協会(JAA)による「アドバタイザーズ宣言」でした。広告主の団体であるJAAが「デジタル広告の課題に対するアドバタイザーズ宣言」を発表したのです。「パートナーシップの8大原則」をまとめ、これらに留意してくれないとパートナーと認めませんよと、という広告主としての厳しい姿勢の宣言です。

そしてこれを具体化するために、デジタル広告の品質を認証する機関の設立も併せて発表していました。JAAだけでなく日本広告業協会(JAAA)、日本インタラクティブ広告協会(JIAA)のJとAが多い3つの団体が協議を進めていくとのことでした。

つまり2019年にアドバタイザーズ宣言と共に計画された認証機関が、先のJICDAQ(一般社団法人デジタル広告品質認証機構)として3月に設立され、4月から稼働を開始させたのです。「アドバタイザーズ宣言」はこれで終わり、ではなくむしろ始まりの合図だったわけですね。1年半かけて準備を整え、満を持してのスタート。さっそく取材しに訪問しました。

左から植村氏、小出氏。アクリル板を置いての取材。写真を撮る時だけマスクを外していただいた。

応じてくださったのは、事務局長の小出誠氏。書籍の取材の際は、「アドバタイザーズ宣言」についてJAAの常務理事としてお話を伺いました。JAAと兼務する形でJICDAQの業務に携わっています。そして事務局の植村祐嗣氏は、JIAAの常務理事との兼務で任についています。

お二人からJICDAQとは何をする組織なのか、具体的にお聞きできました。できればみなさん、JICDAQのWEBサイトから「広報パンフレット」をダウンロードして手元に印刷して読んでください。

パンフレットにもあるこの図がJICDAQの体制を表したものです。

JICDAQのWebサイトで体制や監査の仕組みが解説されている。

上に並ぶJAA、JAAA、JIAAがJICDAQを支える先述の3団体。そしてそこに加わるのはアドバタイザーだけでなく、ネット広告に関与する様々な事業者、そして何と言ってもメディア・パブリッシャーです。広告を発注する側と受注する側の両方が参加するのがポイント。

すでに多くの企業が参加し、JICDAQのWebサイトのリストページに名前を連ねています。現状(4月末)の段階では広告主側だけです。出版社の名前も数社ありますが、現時点では広告主側としての参加。ここに名前のある企業の広告を受託するには、JICDAQの認証が必要ですよ、ということになります。

6月1日を目標に事業者側、メディア側も登録が進められていて、同じようにリストが公表される予定だそうです。7月以降も認証が順次行われ、その結果がリストに加わります。自分たちは認証を受けたので、参加している広告主のみなさんの広告をお受けできますよ、ということになるわけです。となると、広告主がリストに増えるほど、しかも広告費をたくさん使う大手企業が増えるほど、事業者やメディアの参加も促されることになる。うまくできた仕組みだと思います。

そして体制図でもうひとつポイントなのが「第三者検証機関」です。JICDAQ自身が検証するのではなく第三者、具体的には日本ABC協会が行います。これにより客観性が保てるわけです。日本ABC協会のこと、みなさんは知ってますか?新聞雑誌の発行部数を公査・認証する機関。1952年に設立されたマスメディア時代の広告公査機関が、ネット広告についての検証を担うわけです。ここもよくできているというか、自然な流れと言えそうです。

この図のように、登録申請をすると第三者検証、つまり日本ABC協会による検証を受けて適格と判断されたら認証マークをもらえます。でも自分でチェック項目をクリアできている自信があれば「自己宣言」することもできるそうです。大手メディアの中には自社内のガバナンスがしっかりしていて第三者による検証はいらないよ、というところもあるでしょう。その場合はこの「自己宣言」をすればよいのですが、その分もし何かあった時のペナルティは大きくするのだそうです。だから多くの事業者やメディアは第三者検証を受けることになるのでしょうね。

次ページ 「まずはアドフラウドとブランドセーフティの2分野に注力」へ続く

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