コラム

世界で活躍する日本人マーケターの仕事

世界で活躍する日本人マーケターの仕事(パナソニックセールスベトナム 高橋俊介さん)後篇

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ベトナムのウェルネスソリューションプロバイダーになる

—そんなベトナム人の部下の皆さんとコロナ禍をどう乗り越えようとしているのですか?

ベトナムのコロナパンデミックは2020年2月に始まりました。当時は過剰反応で大騒ぎという印象で、1人、2人感染者が出ただけですぐにその地域を、ロックダウンして抑え込むという形でした。1人感染者出たら、その人のいるビルまるごとをロックダウンして出られなくなります。そのくらい厳しい措置をとっていました。そのためコロナ感染はかなり抑え込むことができ、新規感染者ゼロという日が続いていて、マスク無しでも暮らせるくらい安心して生活していたのですが、実はここにきて一気に感染が広がってきています。

2021年5月頃から隣国からの不法移民や他国からの出張者などの影響もあり、感染が再発し広がっています。今年の7月からはホーチミンがロックダウン。買い物に行くにも許可証が必要です。その後同様の規制が徐々に他地域に広がり、生活必需品以外の店はほとんど閉鎖されつつあります。会社も1~2割くらいしか出社していません。

ビジネスへの影響は大きく、まず工場の従業員が出勤できないので生産が止まります。サプライヤーもロックダウンして、生産に必要な小さなパーツがひとつ届かないだけでも生産ができなくなります。また物流も止まって運べません。そして地域によっては家電屋さんも閉まっています。さらにはお客様も不要不急の外出を控えて客足が落ちています。家電業界への影響は日に日に大きくなっています。

とはいえコロナ禍でもできること、やるべきことはあります。コロナによってベトナムの人たちの衛生意識が高まったり、それに付随して食の安全に対する意識が高まったり、健康でありたいという意識が高まったりしていて、そういうところに応えていくマーケティング施策に去年から取り組んでいて、これがうまくいっています。

ちょうどベトナムにおけるパナソニックのブランドイメージ、世界観をしっかりつくっていかないといけないと考えていた時期でした。パナソニックの経営理念には元々「社会生活の改善と向上を図り世界文化の進展に寄与せんことを期す」という一文がありますが、それを現代のベトナム市場に置き換えたときの我々の使命は何なのかと。そこでパナソニックはベトナムにおいて、ウェルネスソリューションを提供しベトナムの社会課題を解決する会社であると存在意義を定義づけし、大々的に打ち出しました。大気汚染、水質汚染、食の安全、健康、肥満、そしてコロナによって生まれた新たな課題も含めてこうしたベトナムの社会課題に商品とサービスでソリューションを提供していく会社であると内外に発信し、商品企画、コミュニケーションなどをすべてウェルネス起点で企画するように変えてきました。

大々的なプレス発表、ディーラーコンベンションでウェルネスソリューションカンパニーへの進化を宣言。ベトナムの社会課題解決に向けたパナソニックの商品・サービスの提供価値を説いて回った。

具体的には、特に注力すべきカテゴリーとして、「空気」「健康」「安全・清潔」という3つの柱を定め、これらのカテゴリー毎に商品“群”で顧客価値を提供しています。例えば「空気」の面では高い除菌能力を誇るナノイー搭載のエアコン、空気清浄機等の空調・空質商品群をコロナ禍でのお客様の心配事・お困り事を解決するソリューションとして様々な形で打ち出しています。また冷蔵庫・洗濯機では清潔さに対する関心の高まりを受けて除菌機能Blue Ag+を冷蔵庫・洗濯機共通で搭載し、市場から高い評価をいただいています。

東南アジア最大の配車サービスGrabとコラボしnanoeX搭載の車両を東南アジア各国で展開。写真は両社トップによるベトナムでのメディア向け発表会。

ベトナムは、たしかにコロナで購買力が落ちていますが、こうしたストーリーに基づいてそれぞれのお客様に刺さる付加価値のある商品を展開することで、売上は伸びています。コロナ影響で購買力が落ちている、需要が伸び悩んでいる、というと値引きや価格競争に陥りがちですが、ウェルネスソリューションのコンセプトの下でその時代の社会課題に適したソリューションを提供することで、結果的にお買い上げいただけていると思います。

次ページ 「【オンライン“訪問”を終えて】」へ続く

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