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富裕層の次は超富裕層? 尖ったセグメンテーションが価値に

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普段の生活に溶け込む「アンビエント広告」など、まだ広告として認識されていないものを活用することで、生活者の目を引き、より受け入れられやすいものとなる事例が増えてきている。広告主としてもこれまでにない媒体を開発してきた、テレシー代表取締役CEOの土井健氏に話を聞いた。

テレシー
代表取締役CEO
土井健氏

2011年にVOYAGE GROUPに入社。同グループ会社fluctに出向し、スマートフォンSSP「fluct」の立ち上げに参画。2014年にVOYAGE GROUPのBoard Member、2016年にfluctの代表取締役に就任。2020年テレシーの立ち上げに参画し、2021年にテレシー代表取締役に就任。

 

Q. OOHメディアだからこその価値をどう捉えていますか。

A. 対象者の生活に寄り添った媒体開発の可能性と、良質な広告体験の創出が可能な点。

OOHに限らず、媒体として価値を帯びるには「大量リーチ」か「尖ったセグメンテーションができている」か、どちらかの特徴が必要となってきます。例えばタクシーサイネージは、社長などの決済者や年収が高い方、金融資産を多く持っている富裕層という、分かりやすく尖ったセグメンテーションができていたことにより、近年急成長している領域です。

他にも、富裕層へのアプローチが可能なタワーマンションサイネージや、都内のオフィスワーカーへの訴求や、ターゲットとする企業がテナントとして入るビル単位でのアプローチも可能なオフィスエレベーター広告、また、美容に興味関心が高い女性へアプローチ可能な美容室サイネージなどもあります。

これら昨今の新しく登場したOOHは、今までのOOHと比較すると、セグメントが特徴的なものが多く、広告主の業種や事業フェーズごとの多様なニーズに応えられるものが増えてきたなという印象です。

そういったなかで当社では、超富裕層は移動にヘリコプターを使うことが増えてきていることに目をつけ、ヘリコプターの後部座席にサイネージを設置し、超富裕層にリーチできる媒体を開発しました。これまで富裕層にアプローチできる媒体はありましたが、超富裕層にアプローチできる媒体は存在しなかったのではないかと思います。

さらには、テクノロジーの進化や私たちの生活の変化により、以前は想定しなかった場所での媒体開発もさらに進むと考えています。例えば「空」。その活用事例として、ドローンショーが挙げられます。東京オリンピックの開会式を機に、日本でもドローンショーへの認知は高まりました。

しかし、それを広告として表現する事例は、国内では存在していませんでした。そこで2月末、当社では川崎競馬場で広告主としてドローンショーを実施。近隣住民の方がその様子を画像付きでSNSに投稿しそれがシェアされ、コメントの中にはドローンショー自体に感動して、こういう広告であればたくさんみたいといったものも。次世代OOHとしてのドローンショーに、大いなる可能性を感じました。

印象に残らなかったり、逆に嫌われてしまったりする広告がある一方で、OOHは、エンタテインメント性のある表現が可能で、生活者にとっても豊かな広告体験が創出できる点もポイントだと思います。今後も従来の常識にとらわれず、新たなOOH広告を開発していくことが、業界の発展にもつながるのではないかと考えます。

また、従来からあったアドトラックなどのOOHも、実は効果的な活用の可能性がまだまだあるのではないかと考えています。実際に当社でも、テレビCMやタクシー広告などと併せて活用したところ、アドトラック経由で非常に多くの問合せが発生するなど、予想以上の成果につながっています。これは、生活者の行動や意識が変化するなかで従来の媒体の意味や価値が変わったり、他媒体との組み合わせ方によっては、より効果を発揮する余地があるということです。

今後も新たな価値あるOOH媒体の開発と併せて、その有効な活用法、既存媒体との組み合わせなども探求していきたいと思います。