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タクシーアプリ「GO」とオリコムが考える 「街の景観をつくる」OOHメディアの価値

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人々の移動をサポートする存在として生活に浸透しつつあるタクシーアプリ「GO」。すでに1300万を超えるダウンロードを記録するなど、飛躍的な成長を遂げているが、その成長戦略にはOOH展開が寄与していたという。Mobility TechnologiesのGO事業本部 平松瞳氏とオリコム OOHメディア局の山本正博氏が、OOHが持つ価値をテーマに語り合った。

左から)Mobility Technologies CC本部 本部長 兼 GO事業本部 マーケティング部 副部長 平松 瞳氏、オリコム
OOHメディア局 第一部 担当部長 山本 正博氏

アプリサービス≠デジタル広告 固定観念からの脱却

―タクシーアプリ「GO」の広告戦略の方針とは。

平松:私たちが常に意識しているのは、利用者の方から「わかる!」と共感していただける広告のメッセージを開発することです。その結果として、「GO」が皆さんにとっての「移動のお供」として常に想起していただける状況になることを目指しています。私たちのメッセージを伝える上で、様々なプロモーション手段がありますが、サービスの立ち上げ当初から注目して活用してきたのが、OOHです。現在はテレビCMなども展開していますが、サービス開始当時は潤沢に予算があったわけでもなく、タクシー乗務員さんに協力してもらい、乗車した方に対してチラシやティッシュを配ってもらっていました。その効果が予想以上に大きくて。この経験から「GO」というサービスの特性上、「人々がタクシーに乗りたいと思う」もしくは「タクシーに乗っている」オフラインの場面で接点を増やすことが効果的ではないか、という仮説に至りました。そして、この仮説を実行するに際して選んだのがOOHでした。

山本:セグメントした対象者にメッセージを出し分けて配信することができるデジタルメディアの方が、広告展開としては効率的と考える企業も多いと思います。それが、オフラインであるOOHが獲得単価でも評価できる結果が出たというのは、非常に興味深いお話ですね。

平松:他にも、生活者の動線を押さえてOOHを出稿した際に、事前に許諾を得た生活者の方の位置情報を活用し、広告効果の差分分析を行ったことがあります。するとOOHの接触者の方が、アプリ利用登録率が高かったのですが、これは他の広告メディアと比べて2倍近い成果でした。この結果も鑑みて、地方も含めてOOH活用のトライを続けていくことになりました。

タクシーアプリ「GO」では、地域の特性や、シーンに応じてOOHのクリエイティブの内容を変えるといった施策も行っている。地域によって効果を発揮するクリエイティブが異なるのも「街の景観をつくる」OOHならではの特徴と言える。

ブランディングにも寄与する信頼感を発揮するメディア

―「GO」ではOOHメディアの特性をどのように捉えていますか。

平松:先ほど話した調査結果からは、OOHには人々の行動変容を促す力があり、移動する場面でサービス利用を想起させる販促的な役割を持つと言えます。さらに私は、OOHには優れたブランディング効果があり、サービスに対する安心感を伝えられるメディアだとも考えています。公共空間である大型看板などへの出稿は審査が厳しく、そのため品質が高いクリエイティブが掲出されることが多いです。デジタル広告領域では同じ場に出稿する広告の品質が担保されていないと問題となるケースもありますが、OOHにはそのようなリスクが小さいのも利点ですよね。

山本:たしかにOOHというのは「街の景観をつくるメディア」ですから、各媒体社さんの意匠審査はもちろん、街の価値を担保するため、屋外広告物条例も含めてかなり厳しく設定されています。そう考えると、OOHというメディアは非常に洗練されていると言えるかもしれません。

平松:おっしゃるとおりです。他にもOOHはブランディングだけにとどまらず、実は社員のモチベーションアップにもつながっているように思います。「自分の会社は、こんなよいエリアの目立つ場所に広告を出しているんだ」と、誇りに思ってくれるようです。

山本:そうですね。GOさんの場合、タクシー乗務員さんのモチベーションにもつながりそうです。そういった機能も街中メディアが持つ価値のひとつだと思います。

OOHとデジタル広告の役割は違う「価値」を比べてはいけない

山本:OOHメディアは効果の可視化が難しいという課題を抱えてきました。現在は業界内の取り組みが進み、各媒体社が独自の評価指標をつくりつつありますが、統一指標のようなものはまだ見られていない状態です。この課題に対して私たちオリコムも、媒体社やビルオーナーなどを巻き込み、OOHの価格や効果を一元にできるような方法を確立することで、広告主企業がよりOOHを活用しやすい環境を提供していきたいと考えています。

平松:そうですね。 やはり広告予算は時に数千万円単位にものぼるため、社長決裁をとるには裏づけとなる数字が必要となります。その観点で、もったいないと感じるのは、「効果が見えないから、新しいマーケティング手法は試せない」と、チャレンジ自体を避けてしまうケースがあることです。そうなると結局、「アプリならデジタル媒体が効果的」などというステレオタイプ的な考えに陥り、成果も出なくなる可能性がある。効果が可視化されることでOOHにこれまで迷っていた企業がトライするきっかけとなれば、よりメディアの価値も高まっていくと思います。

―今後のOOH活用の可能性について考えを聞かせてください。

平松:OOHは独自の価値を持つメディアなので「デジタル広告と比較する対象ではない」と伝えたいですね。広告主としては、OOHに関する知識がまだまだ足りていないと感じるので、広告会社と密にコミュニケーションを取ることで、OOHの掲出場所やクリエイティブの使い分けに関する知見を広げていくことが重要だと考えています。

山本:先ほども話したように、OOHは「街の景観をつくるメディア」。自然に、そして嫌われることなく接触できる貴重なメディアです。今後は、OOHの価値を多くの広告主企業に知っていただき、よりOOHによる効果を実感していただけるよう寄与したいと考えています。



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