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イベント開催の民主化が進む時代の期待と課題 DXによる共創の重要性―Sansan・スプラシア―

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コロナ禍を契機に転換期を迎えたイベント業界ではここ数年、オンライン開催やリアルとオンラインのハイブリッド開催などの試行錯誤が行われてきた。そしてコロナ禍が明けて半年以上が経過し、イベントシーンは新たなフェーズに突入している。

様々なイベント主催企業がイベントの在り方を模索するなか、2023年11月1日に「イベントの民主化とDXと未来」をテーマにしたウェビナーが開催された。Sansan の執行役員としてBtoBイベント をけん引する石本卓也氏と、イベントDX(デジタルトランスフォーメーション)を手がけるスプラシアの社長・中島優太氏が、事例を交えながらイベントの未来について議論を交わした。

実jデータ グラフィック スプラシアー資料

コロナ禍を経て変化したイベント業界

中島:まずは石本さんの自己紹介からお願いしたいのですが、石本さんは Sansanではどのような役割を担っていますか?

石本:330万人が利用する名刺管理アプリ「Eight」を運営する事業部で「Climbers」「DX CAMP」をはじめとしたBtoBイベントの主催事業を統括しています。世間的にはSansanがイベント主催事業を行っているというと驚かれるかもしれませんが、イベント専門の部署を4年前に立ち上げ、総勢40人のメンバーと年間30本のユニークなイベントを開催しています。オンライン、リアル、展示会、カンファレンスなど、イベントテーマごとに最適な方法を自由に選択しながら、来場するビジネスパーソンやスポンサーに対しビジネスにつながる出会いを提供しています。

実jデータ グラフィック スプラシアー資料

中島:今回のテーマである「イベントの民主化」という点では、いまは事業会社が 収益目的でイベント主催業を開催することが増えていると思います。

石本:おっしゃるとおりで、オンラインの台頭によりイベントが一気に増えましたね。これまでイベントを開催するにはノウハウや実績が必要でしたが、コロナ禍でオンライン一択となり、非常に小リスクで開催できるようになったことで、プレイヤーが一気に増加したことはイベント業界においては本当に良いことと感じています。まさにイベントの民主化と言えると思っています。コロナ禍が明けた頃からリアルイベントも開催することにしたという話もよく聞きますが、オンラインイベントを主戦場にしてきたNew Playerも、戦い方次第では本格的な主催企業として成長し続けられる可能性があることから、本当の意味でイベント業界に新時代が来るのではないでしょうか。

イベント主催企業の増加にともなう課題と期待

中島:イベント主催企業が増えることが新たな選択肢をもたらし、業界の変化や経済の発展をもたらす反面、New Playerが増えたことに対する課題はどんなことでしょうか?

実jデータ グラフィック スプラシアー資料

石本:オンラインイベントが急増したことで、誰もが挑戦できるようになった結果、非常に似かよったイベントが多くなっているという印象です。特にオンラインイベントでは、開催規模や参加者数というのは見えにくいものですので、課題は「差別化」と言えると思います。同じ時期に同テーマのイベントも乱立したことから、主催者にとっての集客の難易度が極めて高くなっていっており、気づいたら集まらなくて困っているという状態に陥っているようです。またイベント主催で最も難しいのは継続することであり、2回、3回と続けられなくなり、主催企業の淘汰に逆戻りしてしまってはもったいないなと危惧しています。

実jデータ グラフィック スプラシアー資料

中島:Sansanでは差別化や集客課題におけるポイントはどう考えていますか?

石本:私自身も正解を探している最中ではありますが、いま注力しているのは リアル会場での出会いの精度にフォーカスを当てることです。特にマッチング、つまりBtoBイベントにおいてビジネスに繋がるか否かは最も重要なROIになるため、出会いの質をいかに上げられるかということに向き合っています。会いたい人に確実に会える仕組みがあれば、会場に足を運ぶ動機になりオンラインとの格段の差別化になります。反面、オンラインに関しては、参加目的や立場が一致する”ある層”に限定することで、狭く尖ったテーマを設定するぐらいのコンセプトにしないと参加者も協賛企業も集まりにくいというのが、ポイントだと思います。そうすると参加者数が当然少数になりますので、事業として成り立ちにくい。そのあたりのバランスをどこで意思決定するかが重要になりますね。

中島:マッチングいいポイントですね。事前商談予約については、コロナ前は成立数があまり多くなかった印象があります。コロナ禍を経てその量は増えましたか?

石本:最近はセグメントを狭くすることによって濃いマッチングが起きやすくなることを感じています。当時に比べ、コロナ禍でPCやオンラインツールに慣れた方も増えており、マッチングシステムへの理解や活用が進む現状はイベント業界にとって追い風だと感じています。

もうひとつのポイントは、先ほども述べましたが顧客のROIに真の焦点を当てるべきと感じています。社会ではITを活用した付加価値化が加速する中、イベント業界においての価値は出会いの数と質であり、顧客である出展社と来場者、双方のROIに集中してデジタル活用の本格的なアクションを起こさないと、従来型のままのイベントでは生き残れない時代に突入していくのではないかと思っています。その辺りNew Typeと定義した新興勢力の主催者は、シンプルに価値向上に向き合い、柔軟な方法を駆使されているので、見習うべき点が多いと思っています。

実jデータ グラフィック スプラシアー資料

中島:既存PlayerにとってNew Typeは脅威かと思っていましたが、これからのイベント業界における発展や新しい施策を定着化していくうえでは協力し合うのが大事だと感じました。

石本:そうですね。既存Playerの主催者も積極的にデジタル化を進めたいという姿勢でいらっしゃいますので、互いに上へと引っ張り合う業界のマッチポンプをうまくできればイベント業界全体がDX化し、そのことで出展社や来場者のROIが全体的に向上し、そうすれば、イベントを活用したいという裾野が広がることにつながると感じています。

日本のイベント産業を発展させるカギ、イベントDXとは?

中島:現在のイベントシーンを変えていくうえで、デジタルやデータを活用する「イベントDX」がテーマになると思います。DX(デジタルトランスフォーメーション)により飛躍的に業務効率が向上し成果も体験価値も最大化していくものですが、いまはイベントで取得したデータを統合し、業務プロセスの改善と生産性の向上につなげるレベル2の段階に挑戦する企業が増えている印象です。今後はAI導入なども必須になると感じています。

石本さんはイベントDXについてどのような捉え方をしていますか?また取り組みがあればお聞かせいただきたいです。

実jデータ グラフィック スプラシアー資料

石本:デジタル化を段階的に進めていくことはマストだと思う一方で、DXが実現された理想のイベント体験のゴールから逆算するのもとても重要と捉えています。DXを考える上での参考例として、ドイツの鉄道会社を紹介したいです。駅には改札がありません。乗客はスマートフォンに切符のアプリを保有し、チケットを乗車時に購入しているので改札で「ピッ」の必要がないのです。日本では切符を切る行為を無人化するために自動改札機というデジタイゼーションが行われましたが、ドイツでは交通サービスの本来の目的を「ゴール」とし、乗客がスマートに移動できる体験をデジタルの力でトランスフォーメーションしたわかりやすい例だと思っています。

中島:日本のイベントDXにおいては来場者のITリテラシーを障壁と感じ、なかなかITの実装が進まないという課題もあります。

石本:幅広い世代がスマートフォンを使いこなす現代の中で、イベント会場でスマートフォンを使えないというのは、それを使う確かなメリットをご提供できていないからではないでしょうか。来場者にとっての便利さが用意された上で、面倒だけど価値があると感じてもらえればしっかり順応していくと考えています。

中島:なるほど、ではデジタル化を進めるための順序や開発パートナーの選定における考え方のアドバイスはありますか?

石本:スピード感をもってデジタル化を進めるには、自社で行う部分と外部に依頼する部分を使い分けるのが最善策だと思います。その点、スプラシアさんはイベントの価値や体験をデジタル化する領域で最もスピード感がおありですし、当社のイベントチームのニーズにも高度にカスタム対応くださっています。またスピード面だけでなく、弊社が導入するシステムのセキュリティチェックはとてもとても厳しいのですが、スプラシアさんは100点満点という信頼度抜群の結果で、社内でも驚かれていましたよ。

中島:ありがとうございます。脆弱性診断なども担当させていただきましたね。

石本:御社の人材はイベント畑が長い方が揃っておられるので、イベントの苦労を分かっている方が多く余計な説明を省けるのがいいですよね。イベントのゴールに向けてパートナーとして阿吽の呼吸で取り組めるのはすごい強みだと思います。仕事熱心な姿勢にも救われています。

中島:よくある、IT企業の前身からイベント業界に参入したという企業ではなく、イベントに従事していたメンバーがITを担っているという体制ですので、業界特有のコミュニケーションや運営ノウハウに関しては自負がある部分でもあります。

最後にイベント主催者として、今後どのような目標を持っていますか?

石本:Sansanにジョインした動機にもなりますが、顧客の最終的なゴールを独自のイベントテックを用いどのように実現するかに絶賛挑戦中です。Eightでは独自のアルゴリズムを開発中で、イベント会場でのマッチング精度を的確なリコメンデーションによって飛躍的に向上させることで、偶然の出会いを必然の出会いに変えられるよう頑張っています。

ただイベントや展示会におけるDX化をスピーディーに進めるにはひとつの主催者ではスピードが遅いです。イベント業界全体がDX・デジタル化を通していろんな主催者・パートナーとが手を取り合って“共創”することが大事だと思います。ウェビナーをご覧になっている方々とも手を取り合いながら、イベント産業の次のフェーズを一緒に共につくっていきたいと思っています。

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