【前回のコラム】「米国成功事例② P&GがTargetをビューティケアカテゴリーの「絶対行きたいお店」に変革した売り方のイノベーション」はこちら
「カテゴリー」がメーカーと小売業の共通のフィールド
前回紹介したP&GとTargetの事例から、売り方のイノベーションに取り組む重要なポイントは、ショッパーの購買行動からカテゴリーを伸長させる「売り方」を模索することと述べました。今回はさらに詳しく「売り方のイノベーション」に取り組むための視点を掘り下げます。
上の図は、メーカーが自社製品のマーケティングを展開する際に何に焦点を当てているのか、また小売業が自社店舗のマーケティングを展開する際に何に焦点を当てているのかを重ね合わせたものです。
左の緑色の三角形がメーカーのマーケティングフォーカスをあらわしています。まず製品のSKU、そして製品ラインナップがひとつの共通概念であるブランドに括られ、最後が消費者視点で商材を分類したカテゴリー。この三つの構成要素がメーカーのマーケティング範囲となります。
一方、右の赤色の三角形は小売業のマーケティングフォーカスをあらわしたものです。店舗全体は各部門によって成り立ち、各部門は取り扱う商材を分類したカテゴリーに分かれます。小売業は、一般的に特定のブランド・製品に焦点を当てたマーケティングは行わないので、店舗全体から各部門・カテゴリーまでが小売業のマーケティング範囲となります。
そして、図の通りメーカーと小売業のマーケティングが唯一重なるところが「カテゴリー」です。つまり、カテゴリーが伸長することで、メーカーはカテゴリーを構成する自社ブランドの伸長につながり、自社のマーケティング目標を達成することができる。小売業は、カテゴリーの伸長が所属する部門の伸長になり、店舗全体の活性化につながっていくのです。
このように、売り方のイノベーションは、両者のマーケティング領域である「当該カテゴリーを開発し、活性化させる」という、メーカーと小売業の「協働マーケティング」によって生み出されるものなのです。
「新しい売上を作る「売り方のイノベーション」~買物客の購買行動を、売り場で操作する~」バックナンバー
- 最終回 売り方のイノベーションとオムニチャネル(2015/4/16)
- 日本で「売り方のイノベーション」を実施するための組織と商談の工夫とは?(2015/4/09)
- 米国成功事例② P&GがTargetをビューティケアカテゴリーの「絶対行きたいお店」に変革した売り方のイノベーション(2015/3/13)
- 米国成功事例① スーパーで売れた「スターバックスコーヒー」とは?カテゴリーも活性化させた売り方のイノベーション(2015/2/26)
- デート成功の秘訣は、ショッパーのディマンドとインサイトが出発点。(2015/2/12)
- メーカーと小売がWIN—WINとなる「ショッパー・ベース・デザイン」はこうして生まれた(2015/1/29)
- 買い物客の購買行動を操作するとは?米国 乾電池売り場の劇的改善(2015/1/15)
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