カテゴリーのビジョン・目標・成長要因の共有
以前にも解説した通り、カテゴリーとは「ショッパー視点で捉えた、同じ需要を満たす商品群・商品分野を、小売業の目標や戦略に基づいて設定したもの」と言えます。多くの場合はショッパーが買い物をしやすいように、カテゴリーを、商品の「用途・機能」により再分類しています。しかし、売り方のイノベーションでは、ショッパー・ベース・デザインを用いることで、ショッパーをより情緒的価値観での購買に誘導するための「新しい選択肢」を提示します。
このときショッパーに示される「新しい選択肢」は、当該カテゴリーをどのように成長させていくのか、という「カテゴリーのビジョン・目標・成長要因」に基づいたものでなければなりません。
どのような品ぞろえで、どのような買い物客を満足させるかという、「カテゴリーのビジョン・目標」を決定・実行するのは小売業の役割です。しかし、「カテゴリーのビジョン・目標」を支える「成長要因」を探りだし、ビジョン・目標の達成につなげるには、メーカーとの協働が不可欠です。
したがって、小売業はまず「カテゴリーのビジョン・目標・成長要因」を明確にすることが求められます。それをメーカーと「共有」することで、メーカーが「カテゴリー開発・活性化」に協力・参画できる環境が整います。またメーカーも積極的にカテゴリーをリードする姿勢を持つことで、小売業からカテゴリーに関する「相談」を受ける立場を確保することになります。
ここでひとつ押さえておきたいのは、カテゴリーにおけるトップシェアのブランド/メーカーが、常に小売業のパートナーになるわけではない、ということです。なぜなら、「カテゴリーのビジョン・目標・成長要因」こそ最優先で、それにもっとも相応しいブランド/メーカーがパートナーになるべきと考えているからです。
「新しい売上を作る「売り方のイノベーション」~買物客の購買行動を、売り場で操作する~」バックナンバー
- 最終回 売り方のイノベーションとオムニチャネル(2015/4/16)
- 日本で「売り方のイノベーション」を実施するための組織と商談の工夫とは?(2015/4/09)
- 米国成功事例② P&GがTargetをビューティケアカテゴリーの「絶対行きたいお店」に変革した売り方のイノベーション(2015/3/13)
- 米国成功事例① スーパーで売れた「スターバックスコーヒー」とは?カテゴリーも活性化させた売り方のイノベーション(2015/2/26)
- デート成功の秘訣は、ショッパーのディマンドとインサイトが出発点。(2015/2/12)
- メーカーと小売がWIN—WINとなる「ショッパー・ベース・デザイン」はこうして生まれた(2015/1/29)
- 買い物客の購買行動を操作するとは?米国 乾電池売り場の劇的改善(2015/1/15)
新着CM
-
AD
宣伝会議
【広報部対象】旭化成のグローバル社内イベント成功事例を紹介
-
販売促進
ファンタジー好きに訴求するグミ カンロ、空想の果実をイメージした新商品
-
販売促進
横須賀市、メタバースで観光誘致 AIアバターの実証も開始
-
コラム
サムライマックのCMに「ありがとう」と言いたい(遠山大輔)【前編】
-
AD
広告ビジネス・メディア
バリューチェーンを包括的に捉えた 東急エージェンシーの「広告事業変革」
-
クリエイティブ (コラム)
アイデアが苦し紛れにくっつく瞬間がある――「KINCHO」ラジオCM制作の裏側
-
AD
特集
OOHと生活者の交差点を考える
-
販売促進
ベビー用品の速達デリバリー 日本トイザらス、30分以内におむつやミルクを配達
-
販売促進
「認知獲得」「販促」の両方使えるリテールメディア特性がメーカーの混乱を招く