メール受信設定のご確認をお願いいたします。

AdverTimes.からのメールを受信できていない場合は、
下記から受信設定の確認方法をご覧いただけます。

×
コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

中学時代の車いす生活から、17歳で起業するまで(ゲスト:谷口怜央)【前編】

share

【前回コラム】「フォロワーを増やそうとする前に「やるべきこと」がある(ゲスト:ゆうこす)【後編】」はこちら

今週のゲストは、Wakrak(東京・南青山)代表取締役の谷口怜央さん(20歳)。17歳で起業しデイワークアプリ「ワクラク」をつくったそのきっかけとは?

今回の登場人物紹介

左から、権八成裕(すぐおわパーソナリティ)、谷口怜央、澤本嘉光(すぐおわパーソナリティ)。

※本記事は9月22日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。

注目の広告は『クレヨンしんちゃん』

澤本:こんばんは、CMプランナーの澤本です。

権八:こんばんは、CMプランナーの権八です。今回もWeb野郎こと中村洋基くんが何かいかがわしい作業というか……重たい性病というのは散々言ってきましたが、もちろん嘘でお休みです(笑)。お仕事が忙しいんですね。

9月もまもなく終わろうとしているんですが、澤本さんは最近何か気になった広告、CM、ポスター、Web、いかがでしょうか?

澤本:先週は僕が話したから、今週は権八が話してよ。

権八:僕は春日部駅(埼玉・春日部市)の『クレヨンしんちゃん』の広告。しんちゃんが出てきて、「かあちゃん、楽しい夏休みをありがとう。」、あるいは「かあちゃんの夏休みはいつなんだろう。」「かあちゃんがもっと楽しく過ごせたら夏休みはもっと楽しい。」と。要するに、子どもたちにとって楽しい夏休みって、お母さんたちにとっては逆に休めなくなっちゃうというか。地獄とは言わないけど。

澤本:ポスターが貼られたのが8月末だからね。

権八:そうです。確かに僕の家でもママが、夏休みのほうがむしろ疲れちゃって。子どもたちは楽しそうなんですけど、四六時中相手しなくちゃいけなくなっちゃうので。むしろそんなお母さんに対していたわりというか、寄り添うメッセージ。これオイシックス・ラ・大地さんが出している広告なんですよね。

澤本:オイシックスって食料宅配の?

権八:そうです。お母さんたちが少しでも料理するのが楽になったり、メニューを考えるのをサポートできたりするように、お母さんたちのために何ができるだろうと、オイシックスとして一所懸命考えて挑戦していきます、と。お母さんをいたわり、寄り添う、そういう広告なんですけど、これが良い広告だなと思いましたね。

澤本:春日部だけで貼られているの? 野原しんのすけ家が春日部だから。

権八:そうなんですよ。『クレヨンしんちゃん』の舞台となっている春日部だけです。

澤本:最近、そういうポスターをつくるとひとつの駅だけに貼られていても、それが拡散されて日本中の人が見られるもんね。

権八:みんなが写真を撮ってね。しんちゃんは全国区のコンテンツだし、人気キャラなので、みんなバーッと、それこそバズりますよね。素晴らしいと思います。

澤本:上手だよね。一時期、駅にポスター貼っても誰も見ないから駅貼りやめようということがあったじゃない。でも、そうじゃないと。

権八:そうそう、ちょっと真面目な話をすると、新聞広告もわりとそうですよね。

澤本:新聞広告も写真撮られてTwitterなどのSNSで拡散して、読者以外にも届くからね。

権八:広告がメディアの枠、垣根を超えて広がっていく感じがいいなと思いますね。

さて、そんなわけでゲストの方をお待たせしてしまいました。今回も素敵なゲストをお迎えしております。何とわずか2年でユーザー数6万人のアプリとなった「ワクラク」を開発、運営している注目のスタートアップ企業、Wakrak(ワクラク)の創業者で代表、谷口怜央さんです。よろしくお願いします。

谷口:よろしくお願いします。

権八:若いし、イケメンだし。楳図かずおマンガのかっこいい子みたいなね。谷口さんは知り合いの投資家の方から紹介していただいて、若いのに真面目に世の中のことを考えて、会社を興した凄い社長がいるよと。一回お話して、ごはん食べて。どんなにお酒を進めても一滴も飲んでくれないということがありながら(笑)。

さて、谷口さん、毎回ゲストの方にお願いして20秒自己紹介というのをやっているんです。「すぐおわ」は広告の番組ということでご自身の自己紹介をラジオCMの尺20秒に合わせてやっていただいているんですよね。それをお願いしてもいいですか?

谷口:分かりました。

権八:準備してます?今日、緊張気味ですけど大丈夫ですか?

谷口社長が手掛けるデイワークサービス

谷口:準備はしてないですけど、大丈夫です。

権八:ではどうぞ!

谷口:はじめまして、Wakrakの谷口と申します。現在、20歳で会社を10人弱で運営しています。僕の会社はデイワークという領域をつくってまして、1日単位でアルバイトができるプラットフォームを提供しています。主に飲食店さんがお客さんになっています。

権八:だいぶ時間を余らせて、しかも余った秒数を頑張って埋めようとしなかったじゃないですか。何なんですか、やる気ないんですか?(笑) とにかく若いんですよね。社長さんなんですけど、99年生まれ。めちゃくちゃ最近ですよね。

澤本:僕、99年に佐々木宏さんと仕事しはじめたから、谷口くん、僕と佐々木さんの仕事をしている年数まんまだよ! それはちょっとでかいよね。

権八:デイワークをサービスとしてやっているという話だったんですが、もうちょっと具体的に説明していただくとどんなサービスなんでしょうか?

谷口:働く人は1日単位でアルバイトができて、企業さんは1日単位でアルバイトを雇えるプラットフォームになっています。飲食店や物流企業、コールセンターが「明日急に人が足りない」と募集をかけたり。従来の求人媒体は人材が欲しいと思っても実際に働くまでのリードタイムが2週間、1カ月とかかってしまいましたが、「ワクラク」は最短翌日から募集できて、働いていただけるプラットフォームになっています。

権八:企業が人材の募集をかけて、履歴書を送って応募して、ということが一切省けるわけか。

谷口:そうです。デイワークの軸は3つあると思っていて、ひとつは採用単価が従来は高かったところ。ここを僕らは変えています。採用単価が年々上がってきている理由はあくまで生産労働人口の減少とともに、企業が長期雇用で囲い込みをしているからだと思うんですよね。人材が市場に出てこない。でも、そこは長期じゃなくてもいいじゃないか、短期雇用でひとつの仕事を0.1×10で行ってもいいじゃないか、というのがデイワークの本質的なところなんですね。

2つ目がリードタイムが長い。欲しいと思ってもすぐに採用できないところを僕らは変えていまして。面接はもちろん行わないんですけど、企業は選ぶこともできないんですよね。応募者が現れました、その時点で契約完了なんです。だから企業側は「その人がいいです、悪いです」と、選ぶ権利がない状態になっています。

実際にそれで成り立つのか? と言われますと、成り立ってるんですね。その前提として僕らが第三者からの評価を蓄積していくことによって、実際に相性の良い人にしか仕事を表示しないアルゴリズムをつくってるからです。そこが相互レビューでどんどん個人に対して評価が溜まっていくので、その評価をベースにしたマッチングを行っています。

澤本:なるほど。

谷口: 3つ目は離職率が高いというところが採用の課題だと思います。企業側の条件で働ける人が応募する、そのまま働き続ける、というのが主流だと思うんですけど、あくまで我々は強さを企業側でなく、働く側に強めているんですよね。企業さんが選べないなど、ワーカー主導というのがデイワークの3つ目の価値だと思っています。

権八:いきなりちゃんとした話から入ってしまいましたが、そもそも17歳で会社つくっているんですよ。おかしくないですか? そんな人あまりいませんよね。

澤本:日本にはいないよね。

権八:そうなんですよね。自分が17歳だったときのことを考えると、恥ずかしくて思い出したくもないんですけど……。なんで17歳の少年がこの企業をつくろうと思ったのか、17歳の時点でそこまでできていたか分からないんですが、なぜそういうことになってしまったのか?

谷口:起業したかったという思いは別になくて。何かしら世の中に影響を、というのが中学2、3年ぐらいから芽生えまして。そのきっかけが中学2、3年のときに1年間、車いす生活をしてたんですね。下半身麻痺になってしまって一切足が動かなくて。

権八:野球部で試合中に接触事故があったんですよね。

谷口:そうです。怪我をしてしまって、1年間ぐらい車いすに乗っていたんですけど、そのときにまわりが助けてくれると思ったんですね。知り合いもそうだし、道端で困っていたら助けてくれるだろうと思っていたんです。けど実際は全然助けてくれない。大人たちが見て見ぬふりをしている、というのを目の当たりにして。もちろん助けてくださる方もいらっしゃったんですけど、そうじゃない方もたくさんいて。そのとき、幼心に傷つきまして。

権八:ある日、電車のホームで乗るときに転んで倒れちゃったときに誰も助けてくれなかったということですけど、本当なんですか?

次ページ 「チェ・ゲバラの生き方に大きな影響を受けた」へ続く