20回目(最終回):ブックディレクターを生んだ幅家の教育と、僕みたいなのを生んだ倉成家の教育。

イラスト:萩原ゆか

始まりがあれば終わりがあり。終わりが近づくと名残惜しくなってくる、というのが世の常であり。

この「伝説の授業採集」の連載も、今回で最終回。全部リスペクトしてる授業だから、全く手抜きができない。調べ直し、インタビューし直しつつ、全力投球の原稿を2週間に1度上げるのは、好きで始めたとはいえ、実は結構苦しくもあった。このマラソン、ゴールまで辿り着けるのだろうか…と思っていたが、何とか着いた、ここ、最終回に。

最後は、パーソナルな、家庭内の伝説の教育事例で、締めくくりたいと思う。

子どもの頃、「近所の本屋で本を好きなだけ、ツケで買って良い」と言われていたというスゴイ話。

この教育を受けたその人は、世の中の人にもっと本を読んでもらうために「ブックディレクター」という職業を作り出して、奔走している人である。本の虫、本の男、幅允孝くん。

ブックディレクターという職業を作り出し、人と本の距離について提案し続けてきた、有限会社BACH代表、幅允孝くん。

「ツケで買って良い、という話。あれって、そもそもどんなことだったの?」

10年以上前に個人的に聞いていたこの話をほじくり返して、Zoomで改めて聞かせてもらった。

「母親が本が好きで。特に近代文学が好きだったんですね。僕はいま城崎温泉の仕事をしてるから、志賀直哉、武者小路実篤、有島武郎とか、今でこそ白樺派などいっぱい読むけれど、当時から実家にはすでにたくさんありました。

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倉成英俊 (Creative Project Base 代表取締役/ アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所所長)
倉成英俊 (Creative Project Base 代表取締役/ アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所所長)

2000年電通入社、クリエーティブ局配属後、多数の広告を制作。2005年に電通のCSR活動「広告小学校」設立に関わった頃から教育に携わり、数々の学校で講師を務めながら好奇心と発想力を育む「変な宿題」を構想する。2014年、電通社員の“B面”を生かしたオルタナティブアプローチを行う社内組織「電通Bチーム」を設立。2015年に教育事業として「アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所」を10人の社員と開始。以後、独自プログラムで100以上の授業や企業研修を実施。2020年「変な宿題」がグッドデザイン賞、肥前の藩校を復活させた「弘道館2」がキッズデザイン賞を受賞。

倉成英俊 (Creative Project Base 代表取締役/ アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所所長)

2000年電通入社、クリエーティブ局配属後、多数の広告を制作。2005年に電通のCSR活動「広告小学校」設立に関わった頃から教育に携わり、数々の学校で講師を務めながら好奇心と発想力を育む「変な宿題」を構想する。2014年、電通社員の“B面”を生かしたオルタナティブアプローチを行う社内組織「電通Bチーム」を設立。2015年に教育事業として「アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所」を10人の社員と開始。以後、独自プログラムで100以上の授業や企業研修を実施。2020年「変な宿題」がグッドデザイン賞、肥前の藩校を復活させた「弘道館2」がキッズデザイン賞を受賞。

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