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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

ヒロイン思考でいると、ピンチの場面も大事なシーンになる(宇賀なつみ)【後編】

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【前回コラム】旅先のベトナムの市場で「局アナを辞めてフリーになろう」と決意した(宇賀なつみ)【前編】

今週のゲストは先週に引き続き、フリーアナウンサー宇賀なつみさん。毎日が楽しくなかったという学生時代に身につけた「ヒロイン思考」が、ミラクルガールの誕生につながったお話は必読です!

今回の登場人物紹介

左から、宇賀なつみ、中村洋基、澤本嘉光(すぐおわパーソナリティ)

※本記事は2023年2月19日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。

「旅に出られない人」に向けて書きたかった

中村:そもそも、このエッセイ『じゆうがたび』(幻冬舎)を書こうと思い立ったきっかけは、何かあるんですか?

宇賀:実は、フリーランスになってすぐの頃にいくつか出版のお話をいただいたんですよね。でも、そこで書いたら局アナ時代のことしか書けないから、フリーになって少なくとも3年ぐらい経ってから書きたいですって言ったんですよ。そしたら、3年待ってくださっていた編集者の方がいて、その方と2022年の春頃、「そろそろやりましょうか」という感じで打ち合わせをして、スタートしましたね。

澤本:ほ〜。

宇賀:「旅をテーマにしたらどうでしょう?」っていうのは、その編集者さんが言ってくださったんですよ。宇賀さんは旅が好きだし、しょっちゅうどこかに行っているし。コロナもあったから、旅に出たくても出られない人に旅気分も味わってもらえるから、どうですかね?って。「なるほど、それいいね!」って。そこから自分の過去の旅と、自分の思いを結びつけていった感じですね。

澤本:じゃあ、自分的には好きなものが詰まっている本?

宇賀:はい。もちろん、お酒の話もありますし(笑)。大好きな海とか四季のいろんなお話とか。大事な友人たちも出てきますし。あとは、お世話になった方たちも出てきます。もちろん、もっと書きたかった他の旅もあるんですけど。書きすぎちゃって、250ページに削ったんですよ。

澤本:削ってこれなんだ?

宇賀:削ってこれなんです(笑)。やっぱり、自分で書いて自分の言葉でつくりたいな、と思って。本当に2022年の秋は2カ月ぐらい全てのお酒のお誘いもお断りして、仕事以外の時間はずっと書いていました。

澤本:うーん。逆に、お酒のお誘いが多いんですか?(笑)

宇賀:やっとコロナも落ち着いてきて、「自由に行けるぞ」っていうタイミングだったのもあったと思うんですけど。まあ、私が好きなので、自分から誘うことの方が多いですよ。でも、普段誘っていると、また誘ってくれたりするじゃないですか?それも泣く泣く断って、書き続けて。辛かったけど……。

中村:さすがに飲むと書けないですか?

宇賀:あのね、ちょっと飲んだ方が書ける時もあるんですけど。

中村:あはははは!

「ヒロイン思考」を編み出したら、毎日が楽しくなった

澤本:あと、宇賀さんといえば「ヒロイン思考」って言葉があるじゃないですか?

宇賀:あー、はい。

澤本:ヒロイン思考っていうのは昔から結構あったんですか?

宇賀:これもね、そうなんですよ。別に自分がお姫さまみたいな気分で生きる、とかいうことじゃなくて。小学生から中学生ぐらいまで、実はあんまり毎日が楽しくなくて。

中村・澤本:へえ~!

宇賀:なんで楽しくなかったんだろう……?学校には元気に行ってたんですよ。友だちもいたんですけど。なんだかずーっと頭が痛くて。でも、これって自分が精神的・物理的に暇だから頭が痛いんだと思って。で、当時好きだった漫画の主人公の女の子、自分がなりたいな、と思うような子の行動とか発言とかをマネして、「あの子だったら何ていうかな?」ってマネして、だんだん寄せていくっていう。少女漫画のヒロインになりきって毎日を過ごすと、ちょっとずつ人生が楽しくなっていく、というのをやっていたんですよね。

澤本:じゃあ、その頃から自分をヒロインに寄せていって?

宇賀:はい。例えば、小学生の時に読んでいる漫画って、だいたい学園モノとかですよね?主人公は明るくて素直で、周りにたくさん友だちがいて、っていう。そういう子に憧れて。「じゃあ、この子だったらこんな時に何て言うかな」って。「友だちにもうひと声かけるかな」とか。こんなこと言って嫌われたらどうしようとか、めんどくさいとか思わずに、ちょっと恥ずかしいことを言ってみる、とか。そういうのを練習していたというか。

中村:はあ~、面白い。ロールプレイだ。ちなみに、幼少期の頃の覚えているコミックはあります?

宇賀:私の一番憧れていたヒロインが『天使なんかじゃない』(矢沢あい/集英社)っていう漫画で。

中村:矢沢あいですね、はい。

宇賀:最初に憧れたのが主人公の「翠ちゃん」で、よくマネをしていました。あと、『姫ちゃんのリボン』(水沢めぐみ/集英社)の「姫ちゃん」とか。

中村:はいはい(笑)。アニメにもなりましたしね。

宇賀:そうですね。あとは、中学生ぐらいになると結構ドラマとか、映画とかなんですけど。なんだろう、「嫌なことがあった」とか「うわ~、どうしよう、ピンチ!」みたいなこともドラマとか映画に当てはめると、すごくいいシーンになるというか(笑)。

中村:なるほど!

宇賀:大事なシーンじゃないですか?今が起承転結の「転」だな、というふうに思えると、全然傷つかなくなるというか。メンタルも鍛えられましたし。

澤本:すごい。客観的だね。

中村:でも、それが子どもの頃から鍛錬できているっていうのは、すごい大事なことですね。僕らは「広告業界の偉い人だったら、どう考えるだろう?」とか思ったりはしますけど。

澤本:でも、寄せないけどね。

宇賀中村:あはははは!

中村:言動とか?(笑)でも、ロールプレイするのは面白いですね。それでヒロイン思考なんだ?

宇賀:そうなんですよ、そういうことなんです。ヒロイン思考を自分で編み出して、15歳ぐらいにはかなり変わったなっていう実感があって。高校生以降はもう、かなり楽しく毎日を過ごせてきたな、と思いますね。

澤本:ふーん。じゃあ、中学校までが、さほどっていう感じで?

宇賀:まあ、楽しいこともあったんでしょうけど、割と嫌なことというか。毎日が退屈でつまんなかったな、っていう印象の方が強いかもしれないですね(笑)。

澤本:面白いなあ~。そういうことが全て旅と絡めて書いてある、と。

宇賀:はい。

次ページ 「予定を決めるのは、全体の3割くらい」へ続く